エハド記2
エハド記 第2章 繁栄と堕落
神によって造られし二人の人間は、御声に従い、慎ましく歩み、大地の恵みを受けて暮らした。
やがて二人の間に子が生まれ、その子らもまた子を産み、神が造られし大地には人の群れが満ちていった。
神は四季を巡らせ、雨と陽を与え、民はその恵みによって栄えた。
しかし、人は増えすぎた。
大地の隅々にまで広がった民は、やがて神の施す恵みだけでは満ち足りず、土地を奪い合い、争いを始めた。
その争いは日ごとに激しくなり、大地は血に染まり、神の御心は曇った。
その頃、世界に一人の娘が生まれた。
娘は生まれながらにして“禍を呼ぶ力”を宿していた。
娘はその力を奇跡と偽り、影を揺らし、空気を歪め、人々の心を惑わせた。
娘に惑わされた民は、己が欲のままに争い、
互いに憎しみを募らせ、神が造られし大地は汚れ、人の住まう場所は荒れ果てた。
その様子を天より見られた神は、大いに怒り、
七日七夜にわたり雨を降らせ、多くの島々を海の底へ沈められた。
恐れおののいた民は、神に祈りを捧げ、赦しを求めた。
すると神は御声をもって応えられた。
「お前たちの愚かさには愛想が尽きた。だが、我はなお寛大である。すべての元凶たる、我に逆らいし“魔女”を捕え、我が前に差し出せ。さすれば、お前たちは救われる。」
民は恐れ、すぐさま魔女を捕らえ、神の御前に差し出した。
神は怒りを鎮められ、荒れ果てた大地は、御慈悲によって元の姿を取り戻した。
しかし、その日を境に、神が人の前に御姿を現すことは二度となかった。




