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第19話 次の作戦

 街で大立ち回りをした二日後、僕らは街の様子を見に行くことになった。

 今回の目的は、あの騒動が作戦に悪影響を与えていないか確認するためだ。兄妹を護るためとはいえ、今の時期に作戦が頓挫するような事態は避けたい。


 街へ向かうのはアリヤと数名。僕とダンは、何かあったときに備えて街の外で待機することになった。


*****


 お昼頃にアリヤたちは街へ向かい、三時間ほどで戻ってきた。


「それで……状況はどうだった?」


 不安で落ち着かなかった僕は、戻ってきたアリヤにすぐ尋ねた。

 するとアリヤは、珍しくにっこりと笑った。


「状況は、想像を遥かに超えて良くなってる。詳しいことは、隠れ家に戻ってから話すわ」


*****


 隠れ家に戻った僕らは、すぐに状況報告と作戦会議を始めた。


「街に入って最初に気づいたのは、通りを歩く騎士の数が圧倒的に減っていたことね」


「騎士の数が減ってるだって?!」


 僕は思わず声を上げた。あんな騒ぎを起こした以上、警備が強化されていると思っていた。それなのに逆に手薄になっているなんて、どういうことだ?


「私たちも不思議に思ったわ。でも、街の人たちの様子を見てすぐに理由が分かった」


 アリヤは少し間を置いてから続けた。


「二日前の行動が、功を奏したみたい」


「どういうことだ?」


 ダンが眉をひそめて尋ねる。


「私たちが流した噂は広まっていたけど、本気で信じていた人は少なかったみたい。……でも、あの騒ぎで状況が変わった。理不尽な暴力に晒されていた子どもたちを護った姿を見たことで、噂の信憑性が一気に高まったのよ」


 部屋の中がざわつく。


「街の人たちは“噂は本当だった。救世主が現れた”って口々に話していたわ」


「まさか、ここに来て運が味方してくれるとはな」


 ダンは笑ったが、まだ信じられないという顔だった。


「運なんかではありませんよ」


 ケセフさんが静かに言った。部屋がまた静まる。


「あなたたちが正義を貫いたからこそ、民衆の心が動いたんです」


「……僕たちは、ただ僕たちのしたいように動いただけです」


 僕は照れくさくなって視線を逸らした。


「エリオルの言う通りだ。それに、俺たちだけじゃここまで来れなかった。ここにいるみんなの頑張りが、報われたんだ」


「……感傷に浸るのはまだ早いわ。私たちはきっかけを掴んだだけで、まだ何も成し遂げていないんだから」


 アリヤの言葉で、熱を帯びた空気が一気に引き締まる。


「騎士の数が減っていたのは、街の人たちが騎士に対して強気に出るようになっていたから。理不尽な連行に抵抗する人も出てきている。騎士団の力は確実に弱まっているわ。……でも、この状況が続くとは限らない。強引に検挙に乗り出されたら、市民なんてひとたまりもない」


 ケセフさんが頷く。


「チャンスは今しかありません。一般市民の反抗心をさらに高めつつ、短期間で王を叩く。それしか方法はないでしょう」


「でも、そんなことどうやって?」


 僕は思わず口に出していた。


「今までは隠れて行動していましたが、ここからは自ら“革命隊”だと名乗り出ます」


「危険すぎるんじゃ……」


 カイさんが不安そうに言う。


「確かに危険です。でも、いつまでも隠れていても状況は変わりません」


 ケセフさんは続けた。


「姿を晒して活動すれば、民衆の期待はさらに私たちに集まる。そして革命隊への賛同を呼びかける。……もちろん騎士団も黙ってはいないでしょうが、そこはヒットアンドアウェイで対応します。王や騎士団の目が私たちに向いている限り、民衆に危険は及びません」


 そして、ケセフさんは言い切った。


「そして、革命の流れが最高潮に達したところで、デモを行います」


 部屋がざわつく。誰かが「そんなこと、本当にできるのか!?」と声をあげた。


「できます!……というか、やるしかないんです!」


 ケセフさんの声は揺るがなかった。


「騎士団の戦意を喪失させるには、国民の声を集めるしかない。大規模なデモで騎士団を無力化できれば、王を引きずり出すのは容易い」


 恐怖と期待が入り混じった空気が漂う。


「腹ぁ括れ! どのみち、もう戻れねえとこまで来ちまったんだ。残された道はただ一つ、この作戦を成功させるだけだ!」


 ダンの声が部屋を震わせた。

 その力強い声は、不思議と“できる”と思わせてくれる力があった。


 部屋の空気が一気にまとまった。あちこちから「やろう」「できる」と自分たちを鼓舞する声が上がる。


 僕はその声を聞きながら、拳を力強く握りしめた。

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