第15話 揺らぐ街
それから僕たちは行動を開始した。いきなり国の東側にある城下町を攻めるのはリスクが高い。まずは、西側に点在する小さな集落から噂を広めることにした。
実働メンバーは、僕とアリヤ、ケセフさん、そして男性陣から立候補のあった数名。ダンとカイさんは、隠れ家が見つかったときに備えて待機組となった。
* * *
「最近、国に捕まっちまう奴が多いねえ」
「それなんだけど、どうやら何もしてない人がほとんどらしいぜ」
「どういうこった?」
「王様もとうとういかれちまったってことさ。王様の憂さ晴らしのために捕まって処刑されちまうなんてごめんだぜ」
* * *
「なんだか、最近騒がしいね」
「なんでも、よそ者がこの国に入り込んだらしいですよ」
「え! そうなの?」
「この国の惨状を見かねて、行動を起こそうとしてるとかなんとか」
「でも、この国を変えてくれるなら、よそ者でもなんでもいいよ」
* * *
「知ってるか? 騎士団の団長さまがいなくなっちまったらしいぜ?」
「どうして?」
「なんでも、最近噂のよそ者についたみたいだ」
「団長自ら騎士団を見限ったってこと?」
「ああ、最近の騎士団は、見境なく怪しい奴を片っ端から捕まえてるって噂だ。王様とこの国に嫌気がさしたのかもな」
「じゃあ、今の騎士団は信用できないってこと?」
「ただの噂だがな。でも、近づかないに越したことはなさそうだ」
* * *
僕らは一週間かけて各集落を回った。人が少ない分、噂を流す場所の選定には苦労したが、井戸の近く、畑、街道沿いなど、出来る限りの場所を探した。
そして、いよいよ今日は城下町に向かう日だ。早ければ、そろそろ噂が回り始める頃。何より、これ以上足踏みして時間を浪費するわけにはいかない。
街に着くと、相変わらず人通りは少なかった。けれど、道を歩く人々の様子はどこか落ち着かず、以前の沈んだ空気が少しだけ薄れているように感じた。
「……どうやら、作戦は順調みたいだな」
城下町での実行部隊は、僕とアリヤ、ダン、それと城下町から離れた集落に住んでいたという数名。騎士団が頻繁に巡回しているこの場所に、顔が割れているケセフさんとカイさんが入るのは危険と判断し、2人は待機となった。
今日は行動はせず、作戦の浸透具合を確認する予定だ。僕らは手分けして街の様子を探ることにした。店先、路地裏、広場、宿屋など、様々な場所で聞き耳を立てる。
* * *
「最近、妙な噂が出回ってるのを知ってるか?」
「妙な噂?」
「ああ、どうやらクーデターを企てようとしてる連中がいるらしいぜ」
「ちょっと! こんなところでそんな物騒な話しないどくれよ。捕まっちまったら、どうするんだい?」
「す、すまねえ」
* * *
その日、城下町の調査を終えた僕らは、一度隠れ家へ戻った。
「どうでしたか? 街の様子は」
「上々……とまではいかねえが、噂は確実に浸透してるようだったぜ。ただ、やっぱり騎士団の影響力が強いせいか、表立って噂話してるような奴はいなかったな」
「そうですか。……でも、まずは一歩前進といったところですかね」
「じゃあ、明日からは街での噂流しってことでいいのね?」
「そうですね……時間もありません。次に駒を進めるとしましょう」
そして、僕らはついに城下町での作戦を開始した。




