甘くない現実
「あぁぁぁー――!!!」
「滝!!滝!!!」
俺は悲鳴に近い声で必死に滝を呼んだ
集中治療室で翔に能力解放され、そしてまた再び能力解放されたから…
俺たちは、もう本当にダメだ、と諦めていた
しかし、冷静に考えてみればここはトヴァースさんのバリアの中
微かな奇跡を、俺は願ってやまなかった
(滝…っやっぱり、この世界を滅ぼしてしまうのか!?)
「ぐっ…くそ…」
滝が小さい声でなにか言っている
司令官はそれを聞き逃さなかった
「滝…?どうした?」
俺はもうダメだ、と思っていたが、カルテー二の技で宙に浮かんでいた滝の身体は、自分で起き上がることができた
「滝…大丈夫なのか!?」
俺は再び三節棍を構えた
「はあ、はあ、…危なかった…バリアがなかったら、完全に俺は塵になってた…」
「まだ生きているのか!?さすが不死身の戦士だな…」
周りの仲間も、安堵した表情だった
しかし、他の仲間は起き上がれない
「滝、お前はよく"自分だけを狙え"って言ってたよなあ?だから私は今攻撃したのだ 」
滝はカルテー二に言われ、再び長い棍棒を構えながら体制を整える
「ああ、俺だけを狙え…カルテー二…なぜ今になって復活した…!!」
「外の世界をごらん」
そう言って、カルテー二は能力で今現在の外の世界を俺たちに見せた
「なんと…私の結界が…歪んでいる…!?」
「空が、暗い…!!」
司令官もトヴァースさんも、動揺していた
「司令官!!今すぐに司令官室へ戻ってください!!あなたの結界が破れたら、本拠地は…!!」
俺は必死に司令官に訴えた
「また、あの日を繰り返してしまうのか…私は… 私は、やはりこの者たちを、救えないのか…っ!!」
滝は怯えている司令官の肩を優しく触れた
「司令官…行ってきて、ください」
「滝…」
「トヴァースさんも、お願いします。司令官だけじゃ、やはりまた"あの日"みたいに…」
トヴァースさんの目をふと見ると、涙を堪えていた
「滝…必ず、守ってみせるよ、君たちの世界を 君の、弟さんと一緒に」
そう言って、2人はテレポートで司令官室へ戻っていった
トヴァースさんがいなくなり、バリアも徐々に弱まった
「カルテー二、ルード、許さない…親父を失ったあの戦争を、また再び起こそうとするのか!!」
カルテー二はゆっくり滝に近づく
「蒼山家を滅ぼすまで、私は諦めない 貴様に眠るその強大な力、私が手にする!!」
「俺だけじゃなく、陽仁までも利用しやがって!!」
「滝だけに…死なせるか…」
「えっ!?」
先程ルードに攻撃を受けた純さん、しぐれ、智嬉さんはもう、立ち上がっていた
「貴様ら…!!私の攻撃では立てないと思っていたのに!!」
「滝に先に死なせてたまるか…俺たちも戦わなきゃ… 」
「純…」
ボロボロになりながらも、必死に起き上がる仲間
「今度こそ、敵同士でなく、やっと味方として戦えるね、滝」
俺も、滝に能力を注ぐ
「陽仁… ああ、今度は負けないさ」
「不死身の戦士も、これで終わりだあああ!!」
カルテー二とルードは、2人で目掛けて攻撃してきた!!
「"能力・破壊"!!」
俺たち全員にとどめを刺してきたが、滝は目をグッと力を込めて開き、長い棍棒を天に掲げた
「"天華乱舞"!!」
<挿絵>
3人の技がぶつかり合い、アジトは崩壊していった
俺たちは皆、散り散りに散っていった…――
「ここは…」
なんとか、無事全員、司令官室へ戻ったようだ
「俺たち…生きてる…」
智嬉さんも、みんな、生きてることが信じられなかった
「ここは、司令官室、だよな」
「帰ってこれた!!!」
純さんは誰よりもガッツポーズをして喜んでいた
「司令官、トヴァースさんは?」
喜んでいられなかった。俺と滝は必死に司令官とトヴァースさんを探していた
しかし、どこにもいなかった
「そんな…戦いに、勝ったのに…」
勝ったのがなぜ分かったかというと、先程まで暗かった空が真っ青に晴れていたからだ
「みんなは解散してくれ、俺は司令官を探しに行く」
「俺も!!」
各々解散して、俺たち2人で地下室へ探しに行った
すると、信じ難い光景が、俺たちを待っていた――




