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東西戦線異常なし

「優勢ですね」


 俺らはノーザンラントの兵だけで水田地帯より更に先に土で簡易砦を作りウェルス公国軍と戦っている。

 否、戦っている……というよりはもう倒しているに近い。

 兵数的には二千対一万五千。

 だが俺とライベルとヤクモが圧倒的に押している。

 

 ライベルとヤクモが前に出て俺が後方から魔法を放つ。

 たったそれだけで良いのだ。

 それと地の利がデカい。

 荒地より先は左右を切り立った崖に囲まれた狭くは無いが広くも無い一本道のみが通じている。

 

 要するに真っすぐこちらに来るしかないのだ。

 向こうとしても守るに適しているためもしこちらが攻める時は非常に攻めづらいのだが……それは兵対兵の場合の話だ。


「どうしたどうした、攻めてんだろ? 逃げんじゃねえ!」

「あっはっはっは!」


 二人は楽しそうに笑いながら相手をちぎっては投げちぎっては投げとやりたい放題でとてもじゃないが子供には見せられない状況になっている。

 それにしても一方的すぎる、前にいたベルーガとかいう曲者の将軍はどうしたのだろうか。

 向こうの心配をしつつも敵の後方に魔法を打ち退路を断つ。

 これで敵は逃げようと下がれば魔法を喰らい、前に出れば二人の餌食になる。


「地獄だなこれ」


 俺は若干可哀そうな気持ちになった。




「一番偉そうにしてた奴捕まえて来たぜ」

「ひいい」


 ライベルが首を掴みながら連れてきたのは随分と若そうな貴族だ。

 だが見る限りだと非常に質の良い服を着ている。


「い、命だけは……」

「あなたが総大将ですか?」

「そ、そうだ。私はジェイク・ウェルス」

「ウェルス? もしかしてウェルス公国の?」


 公爵自ら率いてきたのか、いやま他にも将軍はいたんだろうが多分全滅だろうな……。


「ベルーガ将軍じゃなかったんですね」

「あいつは臆病風に吹かれて今回の進軍に反対したから牢に入ってる」

「あー……」


 なるほど、それでか。

 いくらこっちが優位な位置で更に強くなってたとしても、もし彼がいたならばここまで簡単に勝てるわけがない。

 前に戦ったから分かる、搦手を使うかこちらが予想もつかない何かをやってくることだろう。

 ウェルス公はやり手という話だったが戦いに関してはそうでもなかったようだ。


「とりあえず王都に送ります、その後の事は陛下に聞いてください」

「…………」

「ライベルとヤクモは砦で待機してください。もし敵が公爵を取り返しに来たら足止めと報告を。俺はノーザンラントに寄ってからそのまま反対側のレスナ共和国の方の様子を見に行きます」

「ははっ」

「分かった」




 ノーザンラントに戻り、本部に寄った。

 中にはデフとナルドがいる。


「お、お帰り。終わったのかい?」

「はい、ウェルス公も捕まえてます」

「早いな」

「流石だ」

「まあ、ライベルとヤクモがいましたからね。それでレスナ共和国の状況は?」


「ああ、死霊の森からこっちには来ていない。フェイルとレナ、それとエルカが上手くやってるんだろう。ウェルス公国と違って向こうは小国だしな」

「そうですか、一応様子だけ見てきますね。デフは引き続き街の周辺のバリケード作りをお願いします」

「了解」

「じゃあ僕もそっちの状況が大丈夫そうならリア様達に王都の援軍へ行っていいと伝えておこう」

「お願いします」




 森のエルカと初めて会った場所へ向かうとレナが座っていた。


「あれ、そっちは片付いたの?」

「うん一応ね。こっちはどう?」

「エルカさんとフェイルさんが押してる。白くて小さいのが入ってるスケルトン兵が強いみたいだね」


 スケルトンは強いよな、ダメージとか受けないし、割と数もいるし。


「レナは何してるんだ?」

「ん」


 指さす方には縄で縛られたおっさんが座っている。


「これ向こうの大将」

「え、もう捕まえてるの?」

「そう、大分魔力を使った私は休憩しながら見張り番」

「そっか」


 おっさんは元気なさげに項垂れている。

 悲壮感漂う顔だ。

 まさか敵の兵士を一人も見ないうちに負けるとはね。

 この森が俺らと協力関係になったの最近だが丁度良かったのかもしれない。

 暫くすると二人が帰ってきた。


「お疲れ様です」

「おお! ハヤト様自ら出迎えとはこのフェイル感謝の極みです」

「君がここにいるって事はもしかしなくてもそっちも終わったの?」

「はい、終わりましたね。こっちも終わったようで」

「フェイル君が頑張ってくれたし、白尾も頑張ってくれたしね」


 エルカの後ろでミニテレサの群れが若干誇らしげな顔しながらふわふわ浮かんでいる。


「ともかくこれでローファス領に攻めてきた敵は全て倒しました。後は王都の方ですかね。フェイルとレナは一応この森の守りを手伝ってあげてください」

「畏まりました」

「りょーかい」

「それじゃエルカさん……と白尾さんお願いします」

「はいはーい」


 白尾はびしっと敬礼っぽい動きをする。

 こうして俺はノーザンラントに戻り、デフに街の守りを任せナルドと一緒にリア様達の王都援軍部隊に合流した。

総合評価が1000超えました。

書き始めた当初は行くと思ってなかったので嬉しいです、皆様の応援のおかげです。

頻繁に書いてるので短めで、これからもよろしくお願いします。

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