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竜王の竜王による竜王の為の統治方法(ただの人任せ)

「はぁ、やる気が失せた……」


 ブレスオンファーストは無事俺の勝利で終わり、闘技場から玉座のある王の間に戻ってきたのだが。

 竜王シュテンはあれからずっとやる気がない。

 不貞腐れてしまって、玉座でそっぽ向きながらだらりと身体を預けている。


「あの」


 話しかけても反応一つ返してくれない。


「くっくっく……大人しく負けを認めろ」


 フェイルをじろりと睨んだ後、横の爺さんに首で合図する。


「ハヤト様、お初にお目にかかります、私は竜王様の補佐を務めておりますディムと申します。今後の事は私めに」

「ああ、どうも……」


「それでどんな願いをご所望でしょうか?」

「えっと……」

「突然領主になったんですが統治の仕方が分からなくて、竜王様はどうやってるのかなって」


 ディムはちらっと竜王を見るが竜王の態勢は変わらずふて寝している。


「では私が説明いたしますが、補佐を置いてはいかがでしょうか?」

「補佐ですか?」


「はい、ここは確かに一番偉いのは竜王シュテン様ですが決してシュテン様だけが仕事をしているわけではありません。竜王様が睡眠中は私が、気分が乗らない時は私が、そして竜王様が不在の時や不在でない時も私が仕事を行っております」

「そうな……え?」


 んん? んんんんん?

 なんかおかしいぞ。それを聞く限りだとまるで竜王様は仕事を全くしておらずこのディムさんだけが仕事をしているような気がするのは気のせいか。


「ディム爺は有能ですからね」

「有能っていうか、ディムさんが竜王じゃ駄目なんですかそれ?」

「それは出来ません」


 ディムさんはぴしゃりと言い切る。


「確かに私が政治を行ってはいますが、最後に決定をするのは竜王様です。竜王様が否と言えばそれはなりませんし、住民も動かないと思います」

「リア様は結構自分で動いているような……」


「そちらでは動く領主様もいるのですね。ですが、領主は二種類です。自分で働きまくる有能な領主と有能な人材に任せて必要な時だけ動く領主。どちらも良い領主と言えますし、決してそれらの優劣をつけるのは難しいです。そしてハヤト様がどちらを目指すにしても自由かと」

「うーん……フェイルはどう思いますか?」


「俺はハヤト様なら後者で構わないと思いますよ。商人の話も聞きましたが、ハヤト様は人を集めるのが上手いそうなので、統治が分からないのでしたらそこらへんが出来る人材を連れてきて任せるのも一案かと……」


 んー……実際その方が手っ取り早いし安定しそうだよなぁ。


「分かりました、説明ありがとうございます」


 一礼し踵を返す。


「じゃあフェイル、帰ったら人を探しましょうか」

「そうですね、すぐに取り掛かりましょう」


 そんな話をしながら王の間から出ようとしたところで、


「おい!」


 竜王シュテンに呼び止められた。


「フェイル、お前本当にそいつの下にいるつもりか?」

「ああ、俺の主はこの方だけだ」

「そうか……」


 シュテンは少しだけ考えてからじろりと俺を見た。


「おい、ハヤトとか言ったな」

「はい」

「また来い、次までにもっと強いブレスを吐けるようにしておく」

「分かりました」


 ブレスを受けるためにとか一体誰が来るんですかね。


「ついでにだが……」

「はい?」


 竜王はそっぽを向きながら小さな声で。


「困ったらいつでも来い」


 そう呟いた。


「ハヤト様シュテンに気に入られましたね」

「あれは気に入られたんですかね?」


 どう湾曲して聞いても次こそお前を倒して見せるっていう宣戦布告に似たものにしか聞こえなかったけど。


「最後の困ったら……っていうのはあいつの照れ隠しですよ。きっと実力を認めたのでしょう」

「でも俺ブレスを防いだだけで別に戦って勝ったわけじゃないですよ?」


「私達竜と竜人はブレスが一番得意で強い攻撃方法ですからね、それを無傷で耐えられたなら認めないわけにはいきませんよ。もっともあいつは竜へ変身はしませんでしたけどね」

「……気になってたんですけど竜人と竜って違いは何なんですか?」


「私達竜人と竜に大きな違いはありません。ですが王族のみ大きな体躯の竜に進化出来、ブレスの威力を何倍にも出来るのです。ですから違いは竜に変身出来る王族かそれ以外か……に分けられます」

「へえ、じゃあ俺って本気を出されたらシュテンに負けてた可能性もあったりします?」


「どうですかね、次は本気のシュテンと戦ってみては? そもそもブレス一つでもあの闘技場がもたず居住区に被害が行く可能性は大いにありますけど」

「止めときますか」

「はい」


 道を歩きながらそういえば……と気づく。


「帰る前に家族に会っていかなくて大丈夫ですか?」

「家族ですか?」


「だってせっかくフェイルの故郷に来ましたので元気な顔を見せなくて良いのかと」

「私がハヤト様の下へ行ってから何年も経っていませんし、それに家族の元気そうな姿はもう見ましたからね」


「……そうなんですか?」

「はい、だって全員闘技場にいましたし」


 なるほど、俺の処刑を見るためにフェイルのご家族は皆闘技場に来ていたのか。

 それなら挨拶とか良いか。


 わざわざフェイルの家に行って闘技場ぶりですって言ったら、処刑されなくて良かったですねって言われるんだろ?

 反応に困るなぁ。


「帰りましょうか」

「そうですね、では私の背に」

「お願いします」


 こうして俺達は竜の住処を後にした。


☆☆☆


 日帰りで帰ってきたため、ちょっと疲れた。

 向こうで一泊しても良かったかな……と思いながらノーザンラントの本部へ向かうと。


「おう、来たか」


 本部に行くととデフが椅子に座っている。

 それは良いのだが、これは一体どういう状況だろうか。


「ねえデフ……なんですかそれ?」

「ムー、ムー」


 部屋の隅、手足、口を縛られ簀巻きにされている哀れな少年がそこにいた。

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