属性の導き(クーシュ視点
【クーシュ視点】
少女の言った通り、それは数泊置いて起こりました。前方で魔法の行使を感じたのです。
「ふぅ。やっぱり起こってしまったわね」
少女がより障壁を強めながら言います。海の音だけがやけに静かで、まるで視覚だけでなく聴覚までも世界から切り離されている様に錯覚するのは何故でしょう。
「下がれば海?」
私の言葉に少女も気付いたのか、張り詰めたような空気がその場を支配すると、心音だけがやけに大きく聞こえます。そして、彼女もまた沈黙したままなのです。
私もまた少女の沈黙で、現況が好転していない悪路の中を突き進んでいることを知ります。背後から海の音がしなかったとしても、魔法の行使を感じている方角から下がることが正解が間違いないはず――
「下がろう」
私の言葉に、数刻遅れて彼女が返します。
「そうね。一歩ずつ後ろに後退しましょう」
――何歩後退したころでしょう。
「あれ?こんなに下がれたかな?」
私は自分の言葉に冷や汗が流れ、状況が把握できないまま進んでいく時間に次第に恐れを感じます。前方では次第に、魔法の使用と喧騒な声が聞こえてくるのです。忍び寄る不安は拭えないままに――
「私じゃ状況を好転させることは無理。火属性だもの。せめて足場を崩せるくらいの土・水。第2階梯くらいの力が私にあれば」
きっと見えてないけど、少女はこちらを見ているそんな気がします。
「あなたの方はいけそう?」
きっと私は試されているのでしょう。魔法は信じる心から生まれるのなら、土と水の属性から私も導けるはずなのです。




