明暗を分けるのは③(カレン視点
【カレン視点】
命のやり取りの中で、あたい達は研ぎ澄まされている。僅かなノイズのような、何か認識のズレのようなものを敏感に察知してしまうんだ。
前へと思うタイミングでの後ろへの意図は、どれだけ多くの人を殺してしまうのかを知っている。
「試すような真似して悪かった」
龍三が一礼する。海風で龍三の金のウェーブがかった髪が棚引て――刹那、空が明るい光を放ち、照らされた海の水位が下がっているのをあたいは見る。
「少し早いが、気付いちまったか」
バツが悪そうに、龍三が頬を掻いている。(なんのことだ)あたいは今日を、ただの風月の新兵募集と言うことしか知らない。
「あは、ははっはは。そう言うことだったのね。納得したわ。こんなことして、エスタの追跡をどうかわすのか疑問だったのよ。今日が終われば、話は爆発的に広がる。追っ手がかかる」
白髪の女が狂ったように、高笑いを上げる。これが、高度で政治的な問題を抱えていることは理解していた。いや、理解しているつもりで事後のことまでは理解できていなかった。
「わたしは、魔女と呼ばれている。本名はシュヴァよ。龍三さん、着いて行くわ」
白髪の鎌使いが名乗ったのを筆頭に、
「俺はナイトをしている。盾と呼ばれている。今は名乗る名はない」
追従するように皆が名乗りを上げて行く。
「あぁ。わぁったよ。あんたに悪気がなかったのは十分に理解した。斧使いのカイルだ」
龍三がさらに一歩前に出る。
「よろしく頼む」
差し伸ばした手を、あたいが掴むと一人一人とみんなが龍三の手を取った。
「すまない。名乗るのが遅れたカレンだ」
あたいが最後にエルフに視線を送ると、エルフの弓使いが初めて笑う。
「レオニクスだ」
あたいは、手を取りあって笑うのだ。あたい達は前に行く、それぞれの想いを抱いて――。そこにどんな思惑があるのかはわからない。




