礼拝の意味(クーシュ視点
【クーシュ視点】
私もオース様の魔法が見れると、思うだけでワクワクしてしまいます。隣で男の子が、目をキラキラさせるのが私にも伝わってくるんです。
「僕もすごい魔法使いになるんだ」
ほら、あんなに胸の前で手を握って――
「それではせっかくの機会、魔法の手ほどきと変えよう」
(えっ!?)誰でも知ってる物語の登場人物が、私たちのために魔法を教えてくれる。
「ここに集まった冒険者の多くは第3階梯と思う。おそらく多くの魔法使いは神聖魔法の習得に、力を注いで今日に至ったのだろう」
私もひいお婆様の元で、座学だけはいっぱいしたのでこころあたりがあります。私たちは神聖語と呼ばれる神の言葉を拾い集め魔法を生みだしました。もともと世界に魔法は無く、始祖とされるマリオンが魔法の存在を風の大陸に伝えたのが起源とされています。
「諸君らはエルフこそが、魔法に選ばれていると思っているだろう。それは正しくもあり、誤ってもいる」
オース様の言葉に、会場が歓喜に包まれます。
「私が幼き時は、人にも獣人にも賢者はいた。エルフの賢者より当時は、人や獣人の賢者の方が英雄だった」
今度はオース様の言葉に、静まり返ります。そんな夢物語のような話は、いまを生きる私たちには、ただ虚しく、誰もが悔しさを噛み締めるように押し黙ります。静まった世界の中で、オース様が右手の人差し指を胸の高さに掲げ――
「ティルト」
オース様から魔法の炎が上がります。今度はオース様が左手の人差し指を掲げます。
「ファイア」
オース様が第1階梯魔法、つまり世界で最も最初に解析された魔法を唱えます。私たちにはオース様が何を言いたいのか分かりません。
「君たちにはこの意味がわかるか。そう、答えは分からないだ。失われているからだとも言える。学ぶことによって得られる知識は、時として信仰を失わせる」




