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オース・ブランド(クーシュ視点
【クーシュ視点】
「オース・ブランド。あなたハイエルフでもないのに、長生きしすぎじゃないかしら。謙遜もそこまでゆくと、嫌味にしか聞こえないわよ」
そんな二人の会話を置き去りに――
『おいオース・ブランドだってよ。
血の誓いのあれか。
あれって現実の話だったのか?
何百年前の話だよ、生きてるわけないだろ』
――その場がざわつきます。
ティナ姉様も子供に見えて長生きなんです。私も小さな頃は、姉様によく本を読んでもらったのが良い思い出です。
「静かに」
魔法のように重たい声が、オース様から響きました。会場が静まり返り、まるでティナ姉様とオース様だけの空間が広がります。
「シャーロット様は、ご壮健ですかな」
ティナ姉様のお顔が、本来の歳月を感じさせる落ち着いた表情になり――
「ひいお婆様は、今は神子様の直属です」
姉様が答えます。するとオース様が、
「私もこう老いるまえに、もっと旅に出たかった。なぜ私が旅に出なかったのか、その理由が今の今でもわからない――」
オース様の冒険譚は、物語にもなっているのに何を仰っているのでしょう。私にもそれこそ、謙遜がすぎるように思えました。
「オース・ブランド。初心者の魔法使いに手本を頼めるかしら」




