聖魔術師、深い意味はありません(クーシュ視点
【クーシュ視点】
「じゃぁ。あっちみたいだ行ってくるよ」
カレンさんはそう言うと、聖人様と私を残して先に行かれてしまいます。
聖人様は聖人様にしか出来ないことをなされます。私も私にしか出来ないことを、聖人様のいつまでも隣にいられるように――
「聖人様、私も行きます」
私は何度目か分からない決意と、心を決めたような笑顔で聖人様へ告げます。私がティナ姉様の元へ行こうと歩み進むと後ろから
「クーシュ。希望の先で待ってるから」
聖人様の声が聞こえて私は嬉しくて振り返りそうになり、流してる涙を見られたくなくて振り返れません。――聖人様待っていて下さい。私が描く未来の先には、いつもあなたが道を作って待っていてくれる。無事に戻って来たときは、ハグしてくださいね。
ティナ姉様もう私も賢者です。もう何も私は、気後れなんてしません。
(それにしてもこっちに歩いてくる冒険者多すぎません?ひえぇぇっ)一体何人いるんでしょう、多すぎですよ。でも、私も負けません。集まった冒険者で喧騒になっていると――
「これで全部かしらね?ほんと何人使えるのがいるんだか」
ティナ姉様の声が響きます。人が多いこともあってまだ私に気付いてないみたいですけど、私から目が離せなくしてみせます。
「じゃぁ、はじめるわ。と言うかちゃんと魔法使えるんでしょうね?」
姉様を前にみなさん委縮してしまっています。私の隣には、私と同じくらいの男の子がいます。麻のクロークを纏って、このふんわりとした感じ聖魔術師なのかもしれません。
「大丈夫ですよ」
私が緊張を和らげようと男の子に声を掛けると、男の子は俯いて麻のクロークのフードで顔が見えなくなってしまいました。
「賢者様ほどじゃないですがご覧入れましょう」
初老の男が一歩前に進み、ティナ姉様に答えました。夜の様な色のクロークに金色の刺繍がしてあって、きっとどこか有名なパーティーの冒険者であることが分かります。私たち魔法職は、単独行動はしないものだから。




