デルード・ラダー(カレン視点
【カレン視点】
あたいは失明している眼でしか使えない魔眼で、周囲を立体感知させることが出来る。
これが、あたいが神から授かった祝福だ。(きっと本来は、あたいが授かることが出来なかったもの――)
あたいはそのとき立体感知で、23人の冒険者全てを捉えていて、少年の冒険者が下がるのも見えていた。
少年がいた位置から――
「下がってねぇ。こんなところで終われないんだぁあぁぁ。俺はぁあぁクラリスと約束」
――声が上がる。
あたいはノータイムで行動に移り、黒髪の少年の前に立ち胸部へ強い当身をする。そして倒れた少年を、優しく寝かせたのだった。
「あんたがやって無かったら俺がやってた」
スキンヘッドが特徴的な、大型のアックスを持った男が話しかけてきた。あたいは会場に、あたい以外にも優しい冒険者がいたことに安堵する。
「あぁ」
あたいはスキンヘッドの冒険者に、短く受け答えしながらも龍三の動きを追う。少年がパニックに陥るほど、龍三の殺気は鋭く重たいものだったのだ。
過酷な生死を仲間と共にすることで起こる心的ストレス現象で、あたいたちはこれをデルード・ラダーと呼んでいる。生死を前にパニックになって、梯子を上ってきたこと(これまでの冒険)を走馬燈で見て、最後には死を受けいれて前に進む心的ストレス現象である。
決して大切な人はあなたの死を望んでいないのに、そのときはそれが正しいと思えてしまうのだ。
龍三が話し始めてから、あたいは何があっても動けるように構えていたのが幸いする。




