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新兵募集(カレン視点

【カレン視点】

 龍三のもとに集まった前衛職の多くは、まだ駆け出しか、あたいと同じくらいだ。


 しかも半分以上は、祝福を受けれていないわけありだろう。目を見れば分かる。希望より、不安や絶望の悲しい色をしている。この仕事は、英雄譚のような明るい光の影として、孤児や祝福を得られなかったものが命を売る職業なんだ。祝福が無いと言うことは、魔法の適性に目覚めることも少ない。もし、魔法の適性なんてあれば、夢が持てて絶望もまたしないのだろう。


 しかし、世界は私たちのそんな細やかな夢を嘲笑うかのように祝福持ちほど得た権力(祝福)や権利(市民権)にしがみついて、前線になんかには出て来やしない。こんな戦争の真っ只中なのに、死ぬのはいつでも力無いあたいらだ。


 魔王軍との戦争だって、ほんとは力ある祝福持ちが出れば良いのだ。冒険者だけが、死と隣り合わせの仕事を生業とする。誰もがそんな運命から解放されて、大手のクランや騎士団へ入ることを夢見ている。


 もしかすると、彼らにはこの集会そのものが一筋の微かな希望に見えているに違いない。そう思うと、いっそう切なさが増すのだった。


 あたいが祝福を受けれていることは、公の書類には記されなかった。(人は簡単に救われないし、救うこともまた簡単ではない)


 私はしばらく、彼らの鍛錬の成果を(剣の素振りや我流の構えを)見つめていた。


「さあ、そろそろ始めるか」


 龍三の声に、張り詰めた空気が流れる。


「ここじゃぁ、ちょっと手狭だからな。少し開けた場所へ行くか」


 龍三とちらりと視線が交わる、もうすでに試験が始まっているのかもしれない。


「さっき手本は見せたな?さぁ順番はなしだ。誰からでも構わない」


 そう言うと、龍三は一歩下り腕を組むのだった。一歩下がるのなら、私が一歩前へ出よう。私は他の皆が、次の動きを考えている間で既に龍三へ歩き出していた。


「嬢ちゃんが最初か。予想通りで助かった。あんま、こう言うの得意じゃないんだよな」


 龍三が頬をかきながらふざけたことで、あたいは少し気を緩める。次の刹那――、圧倒的な殺意を浴びた。


「今ので下がった奴は、これで終いだ。こっちの世界には、来れない」


 龍三の声と、しばしの間が生まれる。


 そこで龍三が殺気を緩めて無ければ、あたいは精神的極地ゾーンに入り声はもう届かなかっただろう。両方の剣の柄に、手を当て低く腰を落としていた。

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