出資者は無理難題をおっしゃる
主人公視点
きっとクーシュの姉さんも、こう言うちやほや騒がれるのが好きなのだろう。灰色の髪を何度もかきあげながら、会場が自然と静まるのをただ待つばかりのように感じた。(ぜってー美少女って思ってるよな。あぁ、思ってるよッ!)
「ティナ」
黒髪の女性イズミが、たしなめるように声をかけるのだった。
「ハイエルフ、アルダの系譜、ティナ・アルダです。賢者をひいお婆様より受け継いでおります」
急に大人の空気を纏い、可憐に自己紹介を始める。俺は再び会場に熱がこもるのを感じていた。賢者とは、それほどのものなのだろうか。
「諸君らには、別れて我々のリクルートを受けて貰う。前衛職は龍三が、後衛職はティナが、諜報部希望は私が受け持とう」
いつのまにか、イズミを中心に右に龍三、左にティナと並ぶ陣形になっていた。(投擲士は、どこに含まれるのかねぇ)
まさか俺も対象になるとはまったく思ってなくて、どうしたものかと考え込んでしまう。(武器もなければ、スキルもないんだが)
「石でも投げてみるか?」
「いや、アランは諜報部に並ぶべきだ。イズミから始祖マリオンの話を聞き出して欲しい」
冗談のつもりだったんだが――(ほぉ。リクルートを受ける側が、試験管の情報を聞き出す。出資者は無理難題をおっしゃる)
「じゃぁ。あっちみたいだ行ってくるよ」
カレンはそう言うと、一足先に龍三のもとへ行ってしまった。




