魂のゆくへ(カレン視点
【カレン視点】
あたいはアランを見送り、クーシュに声をかけその場を離れた。エレナの涙の意味を、あたいは知っている。
それを悟られないように、自由行動を持ちかけたんだ。
ほんと、どいつもこいつも素直じゃないんだ。エレナもお昼休憩になるから、裏口で待つつもりでギルド裏手へ向かう。
エレナも、あたいも、レンも同じ孤児院の出だ。もう、見知った顔で生きているのはあたいらだけになる。孤児院出身で、祝福が受けれたのはほんと奇跡以外の何者でもなかった。たまたま、エレナの文才が冒険者ギルド長の目に留まり、エレナの願いもあってあたいらも祝福を受けることが出来たのだ。
祝福もないままに、未来を閉ざされていく同じ孤児院の子たちの、目の前に闇が広がっているような心の慟哭は想像するに堪えない。
『誰しも人は土に帰るものだ。彼らの未練を何人も笑ってはいけない』
あたいらの孤児院では、毎朝の神様へのお祈りと共にこの言葉をみんなで唱和する。
祝福がない子らは、土に還るしかない。でも、何人も彼らを笑うことはあたいは許さない。
世界は理不尽だ。祝福を受けれない子どもたちがこんなにもいて、やっとの奇跡で祝福を受けれても、――神様の声が聞けるわけではない。
レンは、どんな気持ちであたいと一緒にいたんだろう。アヌ猫は送るのが役割で、魂のゆくへまでは知らない。ただ、冒険者が悲しまないように必ず『来世でまた会えるにゃ』と言ってくれる。
それでも、私たちは助けを求めるように、すがるように来世で会えることを信じるしかない。だって、アヌ猫がいなければ祝福があろうとも、人は土に還るだけなのだから。
エレナはしばらく待つと、裏口から出てきた。あたいは、そこでレンのことを話した。誰にも見られることのないギルドの裏で――
――泣き続けた。




