名も無き魂
主人公視点
クーシュの言葉に、エレナさんが取り乱してしまったことで、冒険者ギルドは静まり返ってしまっていた。
「エレナ。今日は出なおすよ」
カレンが優しく、エレナさんに話しかける。俺は言葉が見つからなくて、そっと静かにそのまま先に冒険者ギルドを出る。(話せばスキルで上手く言えるのかもしれない。でも、それは何か違う気がした)
ギルドの外で佇んでいると、カレンとクーシュもそんな俺を見つけてくれた。
「アラン。パーティー申請は、また今度だ」
カレンもそう言って笑顔を向けてくれているが――
(カレン自身も、レンフォードに神様の声があったと信じたい。来世があるって信じたい。でも――、聞こえなかったんじゃないかって不安で押し潰れそうなんだ)
――置き土産のスキルだけがカレンの心の支えになっているに違いないのだ。
俺もクーシュも祝福なんて受けてない、名も無き魂はいったいどこに向かうのだろう。
そんな俺の気難しい表情を察してかクーシュが、俺のズボンの裾を掴む。そうだな、俺たちがこんな顔してちゃダメだ。救われた命を精一杯生きる。
「カレン、俺たちは風の大陸に向かいたいんだ。そこに、クーシュの故郷がある」
太陽の光で、金色の紅に透けた髪をカレンがかき上げる。
「そうか、風の大陸か。良かった、あたいもそこに探したいものが出来たんだった」
カレンの笑顔と、かすかに覗く八重歯の可愛さに心を洗われた。目的地は、風の大陸で一致したようだ。
「そう言えば、今夜、荒地の西果ての海側で催しがあるんだが行ってみるか?」
カレンからの誘いだが、またしても夜の荒地か――。
「大丈夫?」
ショタが、俺のズボンの裾を掴む。
「あたいも、アランもいるだろ」
俺も、カレンみたいに強くあろう。強く頷く。
「あぁ。頼むよカレン。連れてってくれ」




