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スローな世界の中で(クーシュ視点

【クーシュ視点】

「すまない」


 私は急な脱力に、膝を上げることができませんでした。聖人様、なに謝っていらっしゃるの。こんなのあなたが、あなたがいれば絶望でもなんでもない。


 私は何も伝えることができないまま、聖人様はレンフォードさんを超えて行きます。


「私、信じてます」


 出会った日からずっと――。私はあなたから目が離せません。こんな髑髏なんて、絶望でもなんでもない。


 私はゆっくり呼吸を整えると、瞳を閉じて聖人様と一緒に使った魔法を反芻してイメージします。(もう少し、まだ次の行動には移れそうにありません)


 イメージしておいた力と、魔力が丁度よく満たされていくのを感じ瞳を開くと、丁度そこにレンフォードさんの後ろから這い上がる髑髏の姿を見ました。


 背中に一本線が入ったように、私は無意識に立ち上がりイメージを具現化させて――


「ス――」


 ---ガキンッ


 私がレンフォードさんの背後の髑髏を撃ち抜こうとしたとき、聖人様に向かって剣を振り下ろす髑髏が見え、剣と剣がぶつかるような異音が響きます。私はとっさに、きっと放つと次はいつ撃てるイメージになるか解らない迷いで詠唱を中断し――


 そこからはまるでスローモーションのよう。


 レンフォードさんの後ろで髑髏が剣を鋭く突く、聖人様とレンフォードさんは何か話していて迫る髑髏に気付かない。


 剣がレンフォードさんに吸い込まれて――。私は血の気がサッと引くのを感じて寒さにゾッとした。


 レンフォードさんがゆっくり沈んでいく。聖人様は、レンフォードさんの盾をあんなに振り回して、私は現実に打ち震えた。(誰だって怖い)


 もう一度呼吸を整え、左の髑髏に狙いを定めて――


「ストーン」


 とっさに左を狙ったのは、偶然でしか無くて、その後に聖人様が、右の髑髏の剣を受けているのが見えます。


 私の魔法が髑髏の胸を貫くと、ほぼ同時にその髑髏の頭蓋骨はちゅうを舞います。そして、次に私の目が捉えたのは、切り落とされ聖人様側に崩れ落ちる聖人様が盾で受けていた髑髏でした。


 崩れ落ちた髑髏が消えると、カレンさんが見えて――(これで、もう助かる。)


 (なんで?)聖人様は、項垂れるように動かないの。


 血塗られた錆びた剣を持つ髑髏が、聖人様の背後で首を切り落とそうと振り被っているんです!


「ストーン」


 私は最後のありったけを込めて――

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