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残された力(カレン視点

【カレン視点】

 あたいは、血の海に沈むレンを見ると頭が真っ白になっちまった。(ここで終わってもいい)レンの剣を手に、彼の無念を手に――


(最後は、共に行こう)


 弟の顔が、いろんな今日までが溢れだす。孤児院でなかなか馴染めずいつも一人だったレン。あたいが孤児院を出る時、一緒に世界を見て回りたいって言ったレン。初めて二人で稼いだお金で食べて幸せそうに笑うレン。(あぁ。いつでも世界は理不尽だ)


(ささやかな幸せでよかった)


 ただ、生きて――


 そんな時だった。あたいの左手が(レンの剣が)自分でも初めての感覚だった。だけど、解ったんだ。


(レンはここにいる)


「うおおおおぉぉ」


 あたいは両手に剣を携え、髑髏の軍勢に向かい咆哮した。あと少し踏ん張れば、全てをひっくり返せる。(ほんと――、あのちびっ子もよくやってるよ)クーシュのストーンが、レンをった髑髏を貫いているのを背後で感じていた。


 全てが見えるかのように研ぎ澄まされていた。


 あたいはスイッチを入れなおすように片方の目を失ってから覚えた力を使い、再び精神的極地ゾーンに入った。失明しているまなこでしか使えない魔眼は、無い方の目で立体感知させることが出来た。


(髑髏――あと5体か)


 前から押し寄せてくる先頭の2体を、駆け抜けざまに逆手へ持ちかえた剣で通り抜けざまに頭を横に両断する。そのまま、両手を交差させ続く髑髏の剣を受け――


 ――押し込んだ。


 再度、右手だけ順手へ剣を持ち変え、体勢を崩した髑髏の頭蓋骨を突き砕く。きっと、何かのスキルなんだと思う。初めて使う両手での剣閃に、迷いが生まれない。


「ストーン」


 クーシュの魔法で片方の足が止まる。あたいは残り1体の頭蓋骨を跳ね飛ばす。すべてが上手くいっているように思えた。そんな刹那の間、立体感知が最後の髑髏が剣を上段に構えるのを捉える。


 あたいは――


 異常なまでの力。濃密な死が魔力となり立ち込めて息が詰まった。


 ――動くことが出来なかった。

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