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仲間を守りたい

主人公視点

 合図と同時に、カレンは飛び出した。おそらくは、精神的極地ゾーンに入っているのだろう。ここから先、声を駆けても届かないかもしれない。


「正気の沙汰かよ」


 少し遅れてレンフォードが駆けだした。(これが、正常な人間の判断なのだ)命が掛ったこの事態で、ノータイムに仲間を信じて突貫したカレンが特別なのだ。


 俺は最後に、急な魔力消費で膝をついて肩で息をしているクーシュに囁いた。


「すまない」


 なんでこんなこと言ったのかは、わからなかった。でも、この言葉を言った途端震えが止まって前に進むことができた。(あぁ。俺はなんにもねぇ諸手で素のままだよ)


 炎の雨で霞んでいた視界が開ける。沈みかけた日を背に、闇夜から這いずりいでし亡者の群れ。髑髏の軍勢は業火に焼かれてなお、凶悪に進軍を続ける。(――絶望ってやつだ)


「無理だっ」


 レンフォードが足を止める。


「行くぞッ」


 通り過ぎざまに、声を掛ける。(あぁ。俺はどんな時も、ゲームでは仲間を見捨てたことなんてねぇんだよ)


 先頭のカレンが鬼気迫るさまで、ブロンズソードを振りぬいている。片手剣なのに空いた左手には盾のない、完全なる狂乱の奮闘を魅せている。


 正気の沙汰じゃ乗り越えられない。


 3体目の髑髏がカレンに襲いかかろうとした時に、やっとその刹那に間に合った。全力の当て身で3体目の髑髏と縺れるように倒れ、俺だけ勢い余って前方へ転がる。(精いっぱいの足掻き)


 倒れた俺に襲いかかるように、新手のもう2体が錆びた剣を振りかざす。砂に足を取られて、もう間に合うように起き上れない。錆びた剣の振り下ろされる速度がまるでコマ送りのように流れる――


「あぁ――。これが死ぬってことか」


 ---ガキンッ


「馬鹿野郎。強がりやがって」


 倒れこんだ俺を庇うように、片膝をつき砂地を滑るようにレンフォードがその刹那に間に合う。俺を両手で包むように、盾と剣を携えたレンフォードが2体の髑髏の錆びた剣を受け止めた。(すまない。レンフォード)


「ありが……」


 俺が起き上るのより少し早く、レンフォードの胸から剣が突き抜けていた。錆びた剣からいやらしく滴る血液に、声を出すことが出来なかった。

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