~in the world~
主人公視点
「カレンッ」
「すまないアラン、数が多い。お前たち出来ることはあるか?」
すまないことなんてあるもんか。俺だって――(いや、何もできない。武器があれば?違う、あったとしても俺は装備出来ない)
吐く息が冬でも無いのに、白く感じてすごく寒いように感じた。クーシュも、俺に掴まって震えている。(きっと、同じなんだ)
「クーシュ」
俺はクーシュの手を握る。
「大丈夫だ。俺が何があっても守る」
ほんと笑えるよな。ビビっちまってるのに、吐く言葉がなんの根拠もない強がりなんて。ほんと、笑えないよな。ゲームだと勇者のクラス上げのため、沸き次第にいつも刈られているから存在を忘れてたなんて。
ゲームと一緒なら――、魔王配下の髑髏だから今のレベルでは絶望的だ。
もしも、あの強さの敵を一掃しようと思ったら。(レベル超越で、高レベル魔法を唱えたら)
クーシュの魔力量ってどんくらいなんだろう。レベル超越で全ての魔法が行使できるが、必要魔力を下回っていると、発動しないどころか魔力浪費で倒れて全てを失うだろう。(ゲームじゃないんだから、命も失ってしまうかもしれない)
やっぱり、安全策を考えるとあまり強い魔法は撃てない。
「クーシュ。俺を信じてほしい。
今から言う言葉、一緒に言えるか?」
俺は震えを抑え、落ち着いた声を心がけ話した。クーシュが、言葉の代わりに俺の手を強く握り返してきた。(あぁ。上出来だ)
「カレン。俺が合図したら、出来るだけ多くの敵をひきつけて欲しい」
「何か策があるんだな?信じるぞ」
カレンも、怖いんだ。強がっているけど、手が震えてた。それなのに、出会って間もない俺のこんな無謀な指示信じてくれて――(ありがとな)
「クーシュ」
俺は名前だけ呼ぶと手を強く握った。
「ファイアレイン」
「ファイアレイン」
少し遅れて聞こえて来たクーシュの声が、静寂をかき消すような力をもったカオスワーズとなって響いた。
傾きかけた太陽で、半分暗くなった空にもう一度光が灯る。ケタケタ笑い声のような骨と骨のこすれる甲高い音と、動き始めた人の骨の――真上に巨大な火球が現れた。ガソリンに火が引火して、零れ落ちる様のように、火球が爆散して炎が滴り落ちる。
内包された魔力が尽きるまで、炎は消えることはない。
(でも、これじゃ敵を倒すことは出来ない)
「今だッ!」
呆気に取られていたカレンも、俺の叫ぶような合図にスイッチが入る。(何もできない俺が何とかするから――。俺に命を預けて欲しい)




