表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/319

砂の悪意に晒されて

主人公視点

「――そうか」


 カレンの笑顔に急に影が落ちた。


「そんな顔しなくてもいいんじゃない。いまは自由なんだし」


「あれっ。あたいそんな顔になってたかい」


「「あはは」」


 みんなで笑った。ゲームだったときは、勿論会話なんてできない。――NPC。ゲームと現実ってやっぱちげーよ。こんなに世界は面白くて、出会いって溢れてたんだな。


 死んだら終りなのかもしんねぇけど、それは現実でも一緒なんだから何もかわんねぇ。


 俺たちは魔物と遭遇することもなく、ラシュム高地を抜けていた。何もなく順調で、歩む速度も予定通りなくらいで、これなら日が沈むか沈まないかくらいでヒズナに入れそうだ。途中から荒地特有の砂地へ地面が変わり、足を取られ疲れが蓄積されている。ゲームだった時にはない、ほんのささやかなこと。


「ヒズナ見えてきたぞ。クーシュ」


 11歳には少しばかり長かったようで、途中から話さなくなっていた。


 そんなショタも――


「やったぁー」


 ようやく少しの笑顔がもどる。俺も、ひと息の空気を吐き出すと歓喜する。――順調だ。俺たちはまだ5キロほど離れているだろうヒズナへ、時々疲れから砂地で転びながら近づいていく。


 そんな俺達をよそにカレンを見ると、少し焦ったように周りを警戒し始めた。(ん?何か見落としていたか)


 ――そんな時だった。


 3メートル先の砂からまるで虫が這い出すように、砂がいくつもいくつもごそごそと盛り上がり。――白い何か。


「武器はあるか?構えておけ」


 カレンが、直剣を抜いて立ち止まる。


「姉さん」


 すぐさま呼応するかのように、レンフォードも剣を抜く。ショタが不安そうに、俺の後ろに隠れる。徐々に人の頭蓋骨が、砂からいくつもいくつも――


「カレン?」


「しっ。生体感知される」


 ぞわりとした感覚が俺の背中を過ぎ、気持ち悪い胃痛が走る。ゲームだった時は、聴覚感知と生体感知は別物だった。俺の油断だ。(ゲームの知識でどうにかなる?馬鹿を言うなそんな感覚じゃない)


 ショタは俺の後ろで、嘔吐していた。(あぁ。解るよ。本当は生きているはずのないものが動いている嫌悪感――)現実はやはりゲームとは違う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ