冒険の門出
主人公視点
「あのあの、私可愛いです?」
不覚にも照れてしまった俺は、どうもショタを直視しずらい。(この呼称が私って呼び方も作為的に感じてしまうぜ。中二不登校モテナイマンのいたいけな心を弄びおって)
「教えねぇよ」
「むぅ。絶対、なにかすねてますよね?よねっ」
緊張が解けたのか、ショタってもしかするとこんな明るいキャラだったのかもな。旅は楽しい方がいい。俺は、ショタの髪をわしゃわしゃーっとして残されてたベレー帽子を被せてやった。
「港国ヒズナから船に乗ろうと思ってる。故郷まで俺が必ず連れてくから」
いつもの俺に戻ると、ショタに次の行き先を告げた。死ぬ直前までどはまりした「君の為なら死ねる」の世界を見て回りたい。なんなら今だって、絶賛どはまり中なんだ。
――何もせず終われるかよッ。なーんて意気込んでる俺を他所に、
「あんたらも、ヒズナに行くのか」
「俺たちも向かってるんだが一緒にどうだ」
如何にもな二人組が話しかけてきた。最初に話しかけてきた紅髪の女、☆3ガチャキャラのカレンか。右目の眼帯が特徴的だからな、こいつは覚えている。(う~ん。もう一人の男キャラは覚えてねぇや)
「いいけど、足手まといになるなよ(是非お願いします)」
(ん?)またパッシブカリスマが意訳しやがった。
「あっはは。駆けだしなのに冒険者の心得がわかってんな。冒険者同士では敬語は不要だ」
カレンには、これで正解だったんだな。
「あんたら美形揃いだからな。洗礼を受けたら可愛そうだって姉さんと話して声かけたのに強気だな」
そうかこいつも思い出したぞ。カレンの弟でレンフォードか。ゲームだと設定だけのキャラで登場しねぇんだよな。
「余計な御世話だよ。それで一緒にくるのか?」
ここはあくまでも強気でいいんだよな。(くそっ、中二不登校には会話するのも難しいぜ)
「あぁ。駆けだしを手放しにするわけにはいかないさ」
「駆けだしじゃねぇんだがな」
「強がらなくてもいい。見ればわかる。首から冒険者証下げてないだろ」
冒険者証(?)ゲームの頃には無かったものだ。そもそもゲームでは、勇者の仲間ってことで世界内での冒険者階級は無かったんだよな。(いろいろ教えてもらうのも悪くないか、むしろお願いしたいくらいだ)
「すまない。よろしく頼む」
「んじゃ決まり。あたいはカレンだよろしくな」
彼女の屈託のない笑顔と、開いた口にかすかに覗く八重歯がチャームポイントになっている。きっと彼女自身も駆けだしの時に受けた傷で失明しているはずなのに、こんなにも明るいことに驚いた。
(やっぱ、冒険者っていいな)




