テンプレ天使ちゃん?
主人公視点
(――ん?なんか胸のところもそもそ動くぞ)
目を開くとショタが俺に抱きついてやがる。くそっ、周りのやつら俺らを暖かい目で見すぎだろう。俺はさっとショタを横にどかすと、眠たい目をこすりながら起き上って身支度を始める。一ヶ月の奴隷生活で、身に付いた生活習慣だ。
「マスター悪いんだけど、顔を洗えるところない?」
店内は朝の出立が終わろうとする頃合いだった。
「そこ出口の先にある、水がめから適当に使ってくれてかまわない」
「そうか。ありがとう」
俺はとぼとぼと、マスターから聞いた先の扉をあけると異世界に来てから最初の伸びをする。空は昼前って感じだな、雨雲の隙間に陽の光が差し込む。
俺は軽く顔を洗う――
「ようやく俺のリアル(生きるべき世界)に来たって感じだな」
初めて異世界に来て、生きてて良かったって思える瞬間だった。ラシュム高地は、周りの緑や風車が如何にもなファンタジーを出していた。(ショタのやつにも、声かけてやっか)
広間にもどると、ショタは子猫のように丸まってた。ベレー帽子がはずれてショタの少し長い耳が見える。髪はハイエルフの銀髪じゃなくて、金髪でベレー帽子で耳さえ少し隠れてれば人の子供にか見えない。
「クーシュ」
俺はショタを揺らす。
「んーーーーッ」
(おまえは猫かよ)ショタが手足を、伸ばすと目をこすりながらお姫様座りする。
「おーい。おはようだ」
「あっ。聖人様おはようございます」
いまさら取り繕ってもおせーし、ショタなんだから、お姫様座りもショートの前髪をもじもじさわるのも俺はなんも思わない。(ほんとうだからな?)
「クーシュも顔あらってこいよ。そこんところ扉でた先な」
昨夜の内に、ラシュム高地までこれたのは良かった。ここまで焦ってたのもあって自分の都合ばっか押しつけて、ショタの顔もそういやまともに見たこともなかった。どぶさらいの労働で、そもそも薄汚れてるし俺たち。
そんなことを考えながら、あの一ヶ月の地下労働って何だったんだろうって物思いにふける。
ふと――、せき止めてた何かが崩れるように笑いがこみ上げてきた。(日本での生活って、楽だったんだなぁ)
「あははは」
「何笑ってるんです?」
ショートに靡く金色の髪は綺麗で、頬はぷにっと軟かそうでいてほのかに紅くて、そんなテンプレが今、髪をかき上げながら俺を上目使いに見つめている。
「天使かと思って、みとれてしまいました(天使ちゃん、マジ天使ッ)」
(あっ。やべ、戸惑い過ぎて全然関係ねぇこと返してた)
「えっ。あっ。私のこと天使って、みとれてたって――聖人様ッ」
天使ちゃんはショタで、ショタは両手で紅く染めた顔を隠し、遠い世界へいってしまう。(Noooo!ショタあぁぁ)前かがみでだぼっとなった服のせいで、胸の膨らみを錯覚しちまったんだぁ。
「すごく可愛いよ(ときめきをかえしてぇぇぇ)」
(なにまんざらでもなさそうに照れてるんだよ。やめろぉ。そして、マスターも見てんじゃねぇぇ)




