また豆のスープかよ
主人公視点
ラシュム高地に入った頃には、もう空には薄明かりが灯っていた。普通の異世界ものだと、大体これが異世界転生初日の朝だったりするんだよな。(テンプレの主人公ってたいがいだな)
もし俺がテンプレしてたら、どんな女の子とパーティ組んでたのかな。それこそテンプレであって欲しい。
「いや。そうであってくれ」
「何がですか?聖人様」
「風の大陸までの旅が上手くいきますようにって(ショタじゃなくて、幼女との旅がよかったな)」
クーシュが、めっちゃこっちを覗きこんできていた。(ふむ。伝わって無いからまぁよかろう)
遠くに山小屋のような冒険者ギルドの休憩所が――
「見えたよ。いそごうッ」
ショタめはしゃぎおって、俺の手を握って駆けだすとか嬉しくなんてないんだからな。
山小屋には「羊亭」と看板がかかっている。(文字が読めるのはお約束だな)てか、ゲームだったころは、NPCも配置されてないただの小屋だったんだがなぁ。
(これ…、明らかに人いるよな)
扉を開ける「カラコロンッ」っと、可愛いベルがなって――
「らっしゃーい。おっ、可愛い冒険者だな」
ここは毛濃いマンの聖地かよ。可愛い女の子を期待した俺がいました。
「あぁ少し休ませてくれ(むさいむさい)」
「あいにく部屋は埋まってんだ、広間で休んでってくれ20ギルドだ」
この貨幣単位ギルドってのが「君の為なら死ねる」の貨幣通貨だ。なんでも、国が発行してた通貨が廃れて冒険者ギルドが請け負って作ったものらしい。
「買い取りも頼む」
「なんだ、あんちゃん持ち合わせなしか」
(会話が生まれるなんて、やっぱゲームと違って新鮮だな)
「あぁ。途中で子鬼から手に入れた戦利品だ」
俺はそういうと、子鬼が持ってた錆びた短剣を差し出す。(まぁいわゆるゴミだ。もってても装備できんしな)
「どれ。錆びた短剣か。25ギルドってところだな。ついでに、5ギルドで豆のスープでもどうだサービスで黒パンも付けとくぜ」
「それで頼む」
(また、豆のスープかよ)
もちょっと狩っても良かったんだが、エスタの軍事力はゲームの時と同じなら舐めたらいけない。小隊長クラスでもアウトだろうな。(☆6ガチャキャラと賢者引き連れて何を言ってるんだ?)って、レベル制なんだから初期はこんなもんだろ。
短剣も装備出来ない盗賊なんだぞ。ほんと――、アランハルトは序盤の育成がだるいんだよな。
「クーシュこっちで食うぞ」
俺はきょろきょろしてるショタをよそに、マスターから豆のスープと黒パンを受け取ると広間の空いてるスペースに座り込んだ。適当に半分に分けると、適当に平らげ直ぐにうとうと意識が閉じていくのを感じた。




