歩きだそう
主人公視点
月明かりの中、俺とクーシュはたわいない身の上話をしながら進んだ。ラシュム高地まで行けば、冒険者ギルド用の休息所が利用できるはずだ。
月下の光でワルツを踊るかのように、厨ニ精神に煽られるよう駆けていた。
(おっ)
魔物はやっぱり、存在するのか。
「クーシュ。止まれ」
ゲームの頃の移動範囲やPOP位置は暗記している。視覚に捕まらなければ、敵さんも反応しないはずだ。
「ひぃぃっ」
クーシュが取り乱している。(そだよな、子供がこんなの見ちまったら取り乱すよな)ゲームでは子鬼族と呼ばれる、いわゆるただの雑魚だ――
落ち着かせようと、そっ手を繋いで気付かれない声で話す。
「クーシュ。あの子鬼に向かってウォータを唱えるんだ」
それでもクーシュは震えていたが、小さな声でおっかなびっくり――
「ウォータ」
クーシュの可愛らしい声と共に水は、対象を取ると纏わりつく。魔法に付与された魔力が尽きるまで、対象から離れることはない。レベル超越でマイナス補正はないが、これは見ただけでも十分な効果を発揮していることが容易に分かった。
「なっ?」
子鬼は溺れると、動かなくなった。
「まだ、11歳でこれからなんだろ。これくらいで驚いてちゃ駄目なんじゃないかな」
俺は、おどけてクーシュに笑って見せた。きっとクーシュは思ってるんだろうな『聖人様の力です』って、だけどそれは違うっていつか言ってやろう。
俺たちは、道中なんどか魔物と相対するも順調に歩を進めていた。月明りでははっきり見えないが、クーシュの気持ちの高まりを俺は感じていた。




