ショタ=可愛い
主人公視点
ここがゲームのままの「君の為なら死ねる」なら、エスタから次の小国まで移動するのには十分なキャラレベルだ。武器なしの盗賊の俺は戦力外としても、クーシュには丁度いい旅になるだろう。
「クーシュ。聞いて欲しい。このままだと追っ手が来てもおかしくない」
ショタは、思いつめた表情でうるうると俺を上目使いに見て――
「大丈夫だ。俺を信じろ(可愛いらしく上目使いとは。だが、男だ)」
ショタが、俺のズボンをにぎにぎしている。
「俺が風の大陸まで連れてってやる(ゆっくりしてると捕まるだろ)」
ふむ。どうやら俺のカリスマは、見境なくハーレム体質のようだが考えないことにした。(男とよろしくやる趣味はねぇよ)
エスタを南ルートで、ラシュム高地を抜ける。ラシュム高地では、必ず敵と遭遇して戦闘になるだろう。そのときのためにも、クーシュの魔法適正を見てやるとするか。
ショタを少し離れた岩陰に連れ込むと、まるで(何をするの?)みたいなショタのいたいけな瞳が、俺を覗きこんでなんとも居た堪れない気持ちになる。これは早く――済ませるか。
「さっさと服を脱げ」
ショタが茹でダコのように真っ赤になって、イメージはボンって音がして蒸気があがって明らかに照れている少女マンガでよくあるやつだ。
「聖人様とこれからッ、これから――ッ」
「違う違う違う、下着も、下も脱がなくていいから。魔法適正を見るだけだから」
「え?でも脱げって」
「脱がなきゃわかんないだろって」
ショタに上手く会話が伝わんねぇぞ。魔法適正の調べ方なんて、魔法がある世界なんだし一般教養じゃないのか(?)。
「クーシュ。もしも世界に、君の素質を調べる方法が無かったとしても俺になら分かるッ(魔法の発現エフェクトを見るんだよ)」
ショタがすごい勢いで何度も頷いている。(大丈夫かこいつ。ちゃんと伝わってんだろうな)
話は変わるが「君の為なら死ねる」では、勇者の魔法とガチャキャラの魔法には大きな差があって、ユーザーで導き出した測定方法によって☆6魔法以降の特異性を3段階に分けて領域と呼んでいた。
ステータス表記が適当な「君の為なら死ねる」では、細かいところはユーザーで勝手に調べてね(検証してね)となっていて――
「クーシュ。ストーンの魔法を使ってみてくれ。――ほら、俺の後に続けて言ってみて」
「ストーン」
「ストーン」
クーシュの1メートルくらい前に、こぶし大の石が形成されている。魔法は、決まった効果を表す。でも、クーシュが魔法の力を具現化する前クーシュの足元にエフェクト(力が集まった光)があった。これが魔法発現エフェクトだ。
賢者でこれは、ハズレとしか言えない。下位領域の魔法が、ゲームクリアに必要となることはまずない。もし土属性魔法の中位領域なら発動エフェクトは地中深くに発現し、視認することはまず不可能になる。ゲームのときはそれをオリジナルエフェクトだの、特殊エフェクトなどと呼んで主に固有キャラを示すものと勘違いしてるやつも多かった。「君の為なら死ねる」の黎明期は、開発資金が少なくて今のようなド派手な固有エフェクトが出せなくてこう言う地味なものが当時少しの間導入されていたんだよな。
「クーシュ。次だ」
「ファイア」
「ファイア」
同じようにクーシュの目の前に、炎が形成されていく。何もエフェクトがなかったように感じたが、瞳が紅く染まっている。これもハズレだ。魔眼のスキルツリーに至るかもしれないが、領域としては下位領域に留まる。
クーシュはこのあともそつなくこなし、水も雷も下位領域を叩き出した。
このゲームのあるあるのひとつだよな。俺にも言えることだが、スキルが良くても性能を引き出せないキャラいわゆる不遇――
「そんな目で私を見ないでください」
急にクーシュが、泣き出して俺の胸に飛び込んできた。
「そんなに顔に出しちまってたんだな。ごめん」
昨日まで生前奴隷だったクーシュが、自分が賢者だってわかったときの戸惑いや喜び、初めて空を飛んだときの衝撃は言葉に出来ないほどの嬉しさだったに違いなかった。
「まだ11歳だよ。これからどんな風にだってなるんだよ」
だけどこんな小さなショタが上目使いでうるうるしている様子なんて、俺には違う意味にしか聞こえなくって笑った。
「何笑ってるですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
ショタの可愛い慟哭が響きわたるのであった。




