レベル14 ぱふぱふ【!】
レベル14 ぱふぱふ【!】
俺たちパーティへの王の態度が劇的に変わった。
王に会うための面倒な手続きも、偉そうな大臣越しの会話もなくなり王との直接対話が出来る様になったのだ。
俺の巧みな交渉術に寄るところが大きいが、僧侶の女が「ゆすり」という露骨な表現を使う事に心が痛んだ。
仲間のために王から素晴らしい提案を引き出したというのに、その仲間から糾弾されるとは。
僧侶の女、いつかカジノですった金の件でネチネチと攻めて泣かす。
しかし豪勢な王宮生活にも1カ月ほどで直ぐに飽きてしまい、俺たちは次の国を目指す事にした。
王は泣きつつ、俺たちの門出を祝ってくれた。
別れがそんな辛いとは、我々はもう家族の様なものだな。
「なぁに、王よ、我々は直ぐに戻ります。なにせここは第二の故郷の様なところですから」
「いや、魔王討伐という大義のためには、ここに留めるさせる訳にはいかん。我らの国の事はよいから、世界のために旅立ってくれ!」
俺は王の耳元で囁く。
「安心してくださいよ、王。あの宝箱の中身の事は誰も言いませんから」
「な、なんのことじゃ、ワシは世界のために……」
「王、いいですから。大丈夫! 安心して!!」
王妃様が横で不思議そうに俺たちを見ていた。
自堕落な王宮生活でなまった身体を慣らしながら、俺たちは次の街に辿りついた。
そこは我々のいた「西方世界」とまだ見ぬ「東方世界」との中間地点で、交易で栄えている街だった。
いくつものお店で軒が連なり、値段交渉が熱く展開されていて、とても活気のある街だ。
街を歩いていると、途中で踊り子の格好をしたセクシーな女性から声をかけられた。
「ちょっと、お兄さん、『ぱふぱふ』はいかが?」
「!?」
「ぱふ…ぱふ…っ!」
大人が嗜む書物「週刊RPG実話」で読んだ事がある、『ぱふぱふ』それは口に出す事がはばかれるが、この世のモノとは思えぬほどの素晴らしいモノだという。
しかし、その書物には「美人局」という存在も記してあった。
どうする!?
「虎穴に入らずんば虎徹を得ずと」いう故事もある! しかし「美人局」も怖い!
ただ、勇者として目の前の冒険に怖気付く事は出来ない。例えその先に危険が待ち構えていようとも。
「俺は勇者だ!」
しかし! しかしである。この身体は世界のための身体、何かあっては問題だ。
俺は魔法使いのジジイに先に行ってくるように進めた。
「ゆ、勇者よ、良いのか?」
「長旅は身体にこたえたでしょう、しっかりと保養をしてくるといいです」
「ゆ、勇者よ! この旅で何と成長したことか! 始めはいけ好かない生意気なガキだと思って……」
「ん、なんか言った?」
「いや! では早速行ってくるのう!」
数十分後、げっそりとした魔法使いのジジイが俺たちの宿に合流した。
「どうした! 魔法使いのジジイ! 一体何があった!?」
「脂ぎったマッチョのおっさん……、脂ぎったマッチョのおっさん……、あぶ……」
その場に倒れた。
あぶないところだった! この勇者をこんな怪しげなサービスに誘うとは、なんて危険な街なんだ。
俺たちはすぐにこの街を後にした。




