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冬の夜
制限時間:15分 文字数:355字
ほう、とため息をついた。すっかり暗くなったのに妙に明るいわけだ。
積もっている。
私は一面の雪原に足を踏み下ろした。
帰り道にあるお馴染みの家々が、雪に照らされて幻想の向こうに行ってしまったようだ。
その一つ一つを眺めつつ家への道をとぼとぼと歩く。
私の家へと続く道はまだ暗闇の向こうだ。
妻と子供が去り、誰もいない私の家は、私を迎え入れてくれるだろうか。
足元をきゅ、きゅ、と雪が締まる音がする。
出来たばかりの足跡に、新しく雪がかかる。すぐに跡形もなく消え去るだろう。
そして雪原は元の姿に……、
ほわり。
背後から白い空気が漂ってきた。温かい気配を感じる。
同じ道を帰る誰かがいるのだろうか。
立ち止まって振り向くと、そこにはラーメンがあった。
「お前……、つけてきたのか」
今日はこいつを拾って帰ろう。
お題:緩やかな冬 必須要素:つけ麺
尾けるラーメン、つまりつけ麺!




