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光と闇

「皆さん聞いてくれなのじゃ。次の授業は、戦闘訓練を行う。対戦相手はこちらで決めさせてもらったからのう。体育館に集合なのじゃ。」

指示の通りに体育館に向かう。

「そういえば、寿春くんはどういう戦闘スタイルなの?私は遠距離からの狙撃と体術がメインになるんだけど…」

体育館に向かう最中に、寿春に話しかけてきたのは時雨。

「あ、それうちも気になる〜!」

と、はしゃいで聞く光莉。彼女の隣では、召姫が興味深そうに話を聞いており、後ろから無言で輪が着いてきている。狛は、色んなものを観察しながら移動している。好奇心旺盛だな。

「僕は刀を使った近接戦闘メインだね。だけど、お姉ちゃんのときはバフと回復するタイプだから、そのときは後方支援だね。」

「そっか!一人二役なんだね!凄いね!」

召姫がそう言うと、光莉は

「ずるい!チートだ!チート!」

と言う。

「そう言う二人はどういう戦闘スタイルなの?」

と時雨が聞く。その質問に、光莉は食い気味に、

「うちたちは二人で最強だからね!」

召姫が

「私が槍を使う近接タイプで、光莉は後方から電撃を放つ…みたいな感じかな?光莉ちゃんは一応近接もできるけど…」

と補足する。

「つまり最強ってことだね!」

そんなことを言っていると、体育館の前に着いた。重厚な扉を凪先生が開けると、そこはまるでアリーナのようであった。中央には戦闘訓練用のスペースが設けられており、周りは観戦席で囲われている。そして、凪先生が話し出す。

「それでは、今から戦闘訓練を行おうかのう。試合は全部で3試合。一対一のタイマン勝負じゃ。相手を場外に追いやるか、戦闘不能にさせる、または降参させれば勝ちじゃ。審判はワシが務めるからのう。多少は仕方ないが、できる限り大怪我になるようなことは避けてくれると助かるかのう。じゃあ、対戦カードを発表するかのう。自分の対戦じゃないときは、観戦席で観戦してもらうのじゃ。あ、そうそう。始める前に、変身はしておいて大丈夫だからのう。」

魔法少女は、【変身】という技術がある。これを行うことで、自身の戦闘スタイルに最も適した衣装と武具が支給される。


      ―――対戦カード―――

      第1試合:光莉vs狛

      第2試合:時雨vs召姫

      第3試合:寿春/舞冬vs輪


光莉と狛か向かって立ち、他のみんなは観戦席に各々座る。2人は既に変身しており、専用の衣装を身にまとっている。光莉はガントレット、狛は杖を手に持っている。

「それでは、始め!なのじゃ!」

その合図とともに、光莉が手をパーにして両手を前に突き出した。そして、その先から魔法陣が現れる。彼女は笑みを浮かべたまま

「ちょっとビリビリするよ〜!」

そして、彼女はその言葉を紡ぐ。

「《スパークフィスト》ぉ!!」

それと同時に、魔法陣から多量の稲妻が広範囲に放出される。魔法少女は、技名を叫ぶことにより、その技の威力拡大や、発動のしやすさを向上させることができる。この世界では、この技術を【詠唱(スペル)】と呼ぶ。彼女の電撃が狛を襲う。狛はふらふらと動きながら

「んーっとね、じゃあこれ〜《ブラックスネーク》」

狛の詠唱(スペル)により、彼女の背後に大きな魔法陣が出現。そこから、黒いモヤがとてつもない勢いで放出される。それはやがて形を成し、モヤはまるで大蛇のようになり、とぐろを巻いて狛を守る。電撃は、蛇のモヤに入った瞬間ネジ曲がり、電撃は狛に届くことはなかった。

「えぇー?!そんな使い方もできるの?!っていうか、あれ?これうち詰んでない?!」

そう口ではいいながらも、光莉はまだ策はあるといった顔をしていた。 

「すんごい魔力出力だね。光莉ちゃん。でも、狛ちゃんのダークマターは、すごいけどどういう魔法なだろ…」

時雨がそう呟く。そこに、召姫が時雨に問う。

「ダークマター自体は知ってる?」

「え?!あ、そゆこと?!造語じゃなくて、そういうのがあるの?!」

「遠くの銀河の写真とかって見たことある?そういう写真の銀河って、ぐにゃって曲がって見えるものもあるでしょ?」

「あーそうね。それがなにか関係するの?」

「そう見えるのは、銀河と私たちの間に何らかの見えない物質があって、それによって銀河から出た光が曲げられて、歪んで見えてるって説があるの。この物質をダークマターっていうのよ。」

「あ!ってことは、狛のダークマターっていうのは!」

「あらゆるものを曲げる魔法…みたいなものかな?」

「え?強すぎない?」

しかし、光莉は再度手を前に突き出して不敵な笑みを浮かべる。

「もういっちょ!《スパークフィスト》ぉ!!」

そして、またしても電撃が狛を襲うが

「何度やっても変わんないよ〜《ブラックスネーク》」

やはり、電撃は曲げられ狛に届くことはない。しかし、光莉は自分の放った電撃の中に飛び込んだ。

「え?!なにしてるの?!」

「どういうことだ…?」

時雨と寿春が困惑の声をあげる中、召姫は少しも驚いていない。それを見て、寿春は

(光莉さんの意図がわかるのか?)

と思う。ありとあらゆるものを曲げるダークマター。これで身を守る狛に、攻撃を通すことは無理だ…そう思っていた。だが、次の瞬間…

「?!」

狛が驚く。それはそうだ。なんせ、受け流していた電撃の中から光莉が飛び出してきて、ダークマターを通り抜けてきたからである。そして、光莉は狛の腕を掴んで

「よいっしょっとぉ!!」

そのまま場外に向かって狛を投げた。狛はすかさず叫ぶ。

「で!《デビ…」

しかし、詠唱(スペル)を唱え終えるより早く、狛は場外に足をついてしまった。

「勝負あり!勝者、光莉〜なのじゃ〜。」

と言う声が場内に響く。

「あーあ〜負けちゃったよぉ〜すごいね〜初見で突破されるとは思わなかったよ〜ねぇねぇ、なんでわかったの〜?私のダークマター、同時に一つのものしか曲げれないって…」

狛が光莉に歩み寄りながら言う。光莉は

「電撃は曲げてたのに、風圧は受けてたからワンちゃんそうかなって思ったのよ〜当たってくれててほんと助かったよぉ〜っていうか、これが違ったらチートだしね〜」

と疲れた様子で言う。それを見て、狛は背伸びをして

「お疲れさま〜えらいえらい〜」

と言いながら光莉の頭をポンポンと撫でる。その微笑ましい光景に、場が少し和んだ気がした。

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