※サブタイ担当の奏士が絶眠中のため省略
顔に何か柔らかいものが当たる感触で目覚める。 この流れはデカパイってのがお約束だが、妙に硬さと温もりと毛の感触があるので多分重政の肉球。
「……俺今目が開かない……」
「にゃ(暇だ。 かまえ)」
ご主人様が無理だってのに、我が家のお猫様はお構い無しに前足でぺちぺちしてくる。 普段なら嬉々としてかまい尽くすけど今だけは無理。 疲労の限界。
無理だって昨日はアドレナリンとかドーパミンとかエンドルフィンとかドッパドパ出ててドパってたドパ〜って感じだったから身体動いたけど、それが無くなった今の俺は役に立たない肉塊でしかない。
「重政〜もうちょい寝るから抱き枕にさせろ〜」
重政に頼み込んだら前足で鼻を叩いて拒否された。 なんだコイツ。
「にゃ(起きろ)」
「無理ぽ」
「なー(もう夕方)」
「マジでっ!?」
重政のしっぽで鼻くすぐり攻撃と聞き捨てならない知らせで跳ね起きる。 おお、俺の身体から火事場の馬鹿力。
反射的に外を見る。 俺の想定だと太陽はまだ沈む方に舵を切ってないはずだが、何故か既に西側にある。
時計を見る。 俺の想定だと午前か、まだ12時とかそこらのはずだが、数字は16時を過ぎている。
ふむ…………昨日紅葉と別れて布団に入ってからの記憶が一切無いな。 朝飯作った記憶も、洗濯物を干した記憶も無い。
そしてこの全身の疲れと倦怠感。 そして貴重な休日を寝て過ごした時のような喪失感。
なるほど。 どうやら俺は半日以上寝ていたらしい。 まぁ昨日が昨日だから納得だわなー。
「にゃ(起きたか。 かまえ)」
「無理ぽ〜」
重政のありがたーいお誘いも再び目を閉じて布団に潜る。
普段自制していた分というか、紅葉達が来てからは俺一人だし『やらなくてもいいこと』が『やらなきゃいけないこと』になったから、こうして布団でゴロゴロする機会も減ってたし夏休みだしたまにはいいだろう。 どうせ今から急いで起きても間に合わんし。
何やっても起きないと諦めたのか、それとも単なる抗議かは分からんが重政は顔の上で丸まって寝始めた。 息苦しいし暑いし重い。
まぁでも、ちょっと圧のあるアイマスクと思えばこの程度ぐっすり。 ZZZZZZZZZZZ
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んがっ
視線を感じて目が覚めた。 目を開けても顔の上で重政が寝てるから何も見えん。 でもこの視線の感じは紅葉。
後視線のする方から邪念というか好き好きオーラというか子供を愛でるみたいな感じの気配を感じるので確実に紅葉。 俺をガキみたいに可愛がろうとするのは紅葉かウチの自称姉2人くらいなので。
そんでもってそいつらはこんなオーラ出さないし仕事で忙しくて我が家に来れないので紅葉である。 Q.E.D.龍解完了。 証明を終了しろ。
ま〜紅葉ならいいかぁ〜 最近の紅葉はイタズラの頻度減ってるし、俺の脳はそれどころじゃないし。 人間ガチ疲れの時は頭回らない。
「……」
頬をツンツン突かれてる感触。
「……♪」
あ、今頭撫でられてる。
「……♡」
左腕がやらかい。 音的に紅葉が添い寝して腕に頬擦zzzzzzzzzz
「……ペロッ」
耳の感触で沈みかけてた意識が少し上昇する。
「……ふ〜っ」
再び耳に感覚が。 起きないからって好き放題イタズラされてる。
「……♪」
肩に頬擦りされてる。
「……ちゅっ」
首元にキスされた。 このまま痕を残されるのだろう。
あーでもダメだ。 これ以上は意識が維持出来ない。 無理だ寝ZZZZZZ
「……♪」
……………………
─────────────────────────
「フーッ!」
「フシャーッ!」
目覚めると我が家の猫同士で威嚇してた。 あれから何があったん?
「……何してんのお前ら」
「……寝てる奏士にマーキングしてたら重政に怒られた」
「シャァァァァッ!(寝てんのに邪魔だし人のもんにマーキングしてんじゃねぇ!)」
なんか俺的に幸せな喧嘩らしい。 重政〜普段ツンツンなのに本当は大好きかよ〜。
「コラコラ重政そんな怒んないの。 仲良く分け合いなさい」
「……にゃー」
怒り心頭の重政を抱っこしてなでなで。 すると落ち着いてきたのか重政は尻尾をゆらゆらさせ、喉を鳴らして首元にすりすり。 上書きしてる。
「……へっ」
「…………」
よく分からんが、今重政が紅葉を煽った事は分かった。 紅葉が重政見て殺気出してる。
「お前らこれ以上喧嘩するなら飯抜くからな」
「うにゃぁ〜ん♡」
重政お得意の媚び売り。 僕的効果は抜群ですね。 相変わらず自分を活かすのがうまい。
でもコイツ、中身は人間年齢だとジジイなんだよなぁ。 猫だから許されてる。
「……奏士は重政に甘過ぎる。 人に飼い慣らされて野生を忘れた猫畜生にはご主人様である奏士の妻こと私が上だと分からせる」
紅葉が何か俺みたいなこと言い出した。 俺は冗談で言うけど紅葉は目がマジ。 あとまだ妻ではない。
「猫と喧嘩するなら俺は今後お前のことを本格的に飼い猫として見るぞ。 大丈夫だ俺は多分お前にも相当甘い」
「……じゃあ私も撫でて」
そう言って抱きついて来たので重政に使っていた右手を紅葉に使う。 重政を抱えてる左を甘噛みされた。
「……へっ」
「フーッ」
今度は紅葉が重政を煽ってる。 もしかしてバカなのかコイツらは。
コイツら基本仲良いんだけどなぁ。 同じ猫だし。 ちゅきちゅき大ちゅきな飼い主が絡むと敵対するのどうにかならんかね。
でひ美少女大好きな重政がここまで媚び売らずに喧嘩するってことは、重政は紅葉を家族と認めたのかね。 重政警戒心強いし。
「……奏士は私と重政どっちが大事なの?」
「その手の質問嫌い」
僕は欲張りなので両方と答えます。 腕は2本あるのでそれぞれ1本ずつでいいじゃん。
あー急な読み込みでこの先消えた最悪すぎる。
寝起きなのに緊急ミッション「平等に撫でろ!」が発令されたが、どうにかこうにか落ち着かせる。 肉体的には酷だが、精神的にはこれ以上無いくらい回復した。 心は元気。
「……♪」
「ゴロゴロゴロゴロ……」
2匹とも心地良さそうにスリスリマーキングをしている。 俺の身体は左右でマーキングが違う。 本当に分割されるんじゃ……
「……忘れてた。 奏士、お散歩」
「……ん、ああそうだったな」
時計を見れば16:55。 あぁそんな寝てなかったんだな。 それなのに深い眠りとは余程の疲れか。 1週間分の元気を前借りだもんなぁ。
「重政も行くか?」
「にゃ(行く)」
「……私は二人きりがいい」
「だってさ」
「にゃーお(明日にしろ)」
「明日にしろってさ」
「……なら許す」
まぁ明日晴れるかは分からんけども。 連日の散歩が確定して奏士くんは本気で身体動くか心配。
紅葉が部屋に戻って実質紅葉の物となった麦わら帽子を被って出てくる。 俺はうがい歯磨き髪を整え、重政を頭の上に乗せて準備OK。 重い……
「……行こ」
「にゃ」
俺の代わりに重政が鳴いた。 お前は歩けよ。
家を出る頃には5時を回っていたからか、いつも通る公園にも人は居ない。 まぁまだ暑いしなぁ。 セミ鳴いてるし。
時間帯的に定時で帰宅が増えるので、紅葉が離れないようちゃんと手を繋いで道を行く。 やっぱこの時間は車通り多いな。 逆に人は少ねぇ。
「……珍しく奏士から手を繋いできた」
「君は前科があるからな」
「……♪」
手を繋ぐだけで嬉しいらしい。 紅葉の幸せオーラに重政が嫌そうな気配。
「そういや、ベルとの約束は終わったのか?」
「……小百合達も来てアレコレ聞かれた」
紅葉はそのアレコレとやらを思い出したのか、どこか疲れた顔をしている。 何があったのやら。
「……昨日奏士とした事全て吐かされた」
「へー…………」
僕はもう諦めた。 なんかもう俺との事は全員興味津々らしいし、黙ってるのは無理そうなので。
まぁ一応? 協力とやらのおかげでまた1歩進んだって視点もあるし? 感謝とやらで? やっぱ感謝とかないわ頼んでねぇし。
「……あと奏士の股間のサイズをみんなに教えたらドン引きされた」
「何してくれてんの?」
それは黙認してないんだけど? え、何お前何? 何?
「……あと奏士としたあの夜を漫画にしたから次のイベントで配布する」
「罪を重ねるな。 俺は絶対許可しないぞ」
「……私と奏士の顔は変えるから問題無い」
問題しか無い。
「大体次のイベントって何だ? 夏コミか? もう印刷所は間に合わんぞ」
間に合わなくもないが、かなりの割増料金取られるしどの道俺が許可しないし。
「……9月に東京でレポ限のイベントがあるからそれで出す」
「出したら婚約解消するぞ」
「……逆説的に私は婚約者?」
「……もうなんでもいいや」
「……結婚式は早めに決めた方が後々楽」
頭回ってないからヘタこいた。 紅葉がこれ以上無いくらい調子乗ってる。 頭上の重政も呆れてる。 おいそんな目で見るな。
「てか何『レポ限』って」
「……自分の実体験や行ったお店の情報、あと商品レビューなんかを本にまとめて配布する『レポート限定』」
「多分だけど審査か何かで落ちると思うぞ」
あまりにも現実味が無さすぎて。 僕はこの疲労があるから現実だと思えてるけど、それが無ければ夢か何かだと思えるくらいリアリティが無かった。 多分紅葉の妄想で片付けられるんじゃないかな。
「……奏士もサークル手伝いとして来てもらう」
「罰ゲームが過ぎるだろ」
紅葉の漫画読んで態度見れば「あ、この人かぁ」ってなるよ? 自分らの初体験を世に後悔するって高度プレイが過ぎるだろ。
「紅葉ちゃん一応美少女神絵師として認知されてるんだから自ら旨味を消すような真似は止めとけ。 ゲスな話、紅葉目当てでイベントに来てる奴も居るんだから俺が消されかねない」
「……そうなったら私はサークルを解散して二度と絵を世に出さない」
どうしよう当日の俺の一挙手一投足に酒呑童子先生の今後がかかってると思うとチビりそう。 てかマジで止めて。
「……私は今の幸せをみんなに伝えたくてたまらない」
「ならせめてオリ限とかでやってくれませんかね」
オリジナルなら多分余裕でしょ? あくまで想像なんだから。
「……コミケはもうゲーム系で申請してるから無理」
「諦めて友人に話す程度にしとけ」
どんなに宥めても紅葉はご満足いただけないご様子。 そんなに頬を膨らませてもダメなものはダメです。
「……じゃあSNSにアップする」
「フォロワー減ってもいいならどうぞ」
世のピュアな心を持つオタク達は紅葉を処女だと信じてやまないので、唐突にあんなガチのやつ出されたらショック死しちゃいそう。 そういう奴らは過激なので脅迫されないか心配です。
「……明日お散歩ついでにデートしてくれたらちょっとは考える」
「……まぁそれなら」
「けっ」
なんか重政に舌打ちされたんだけど。 なんだコイツそんなにリア充が嫌いか。 俺も嫌いだ!
「……デート♪」
うん、まぁ……話題そらせたし良しとしよう。 どうせ散歩行くんだしデートしてもしなくてもやる事変わらん。 多分駄菓子屋と本屋で一日潰して終わり。
「……明日はお散歩の前にカドショ行きたい」
想定外のデートだった。 カドショで何する気? あ、カード買うのか。
「……重政はお留守番」
「にゃー(わーってるよ)」
「……いい子にはご褒美にお土産買ってきてあげる」
「にゃーお(お嬢ちゃんステキ!)」
コイツらさっきまでの喧嘩がどっか行ってら。 おい重政媚びを売るな。 ソイツは一応お前の天敵だぞ。
「……今後はお嫁さんとして重政のお世話も覚える」
紅葉が本格的に嫁を名乗り始めた。 ここまで来ると薬指の指輪が怖くなってきた。 本当に怖いからその猫の指輪外してくれないかな。
「……♪」
「ゴロゴロ…」
まぁ、いいか。 頭回ってないんだし、アレコレ考えて容量使うより今は目の前の事だけ見ることにしよう。
夕日に照らされ道を行く。 ただの住宅街でも散歩だとちょっと新鮮。
これでようやく、忙しさは無くなったのかね。 あとはただ歩くだけがいいな。 もう障害物とか要らない。
終わりまでこんな感じで歩きてぇなぁ。 走るのもダルいし障害物避けるのもダルい。 お手手繋いで散歩道くらいがちょうどいい。 ここに口笛も付け足してやろうか。
「……?」
「んにゃ、何でもない。 で、今日はどこまで行くんだ?」
「……駄菓子屋まで行く」
「良いな。 腹いせにあのババアの寿命削りに行くか」
「……ご老人には優しく」
色々あったけど、今はちょっとだけ幸せかもな。
はいどーも皆さんこんにちは
最近おろしポン酢にハマった作者です。
早速広げにくい話題を出したことを後悔しています。
生贄に捧げて上級話題を出したい所ですが、私の会話デッキはストレージと呼ぶことすらストレージへの侮辱になるゴミしかない上、「俺の手札には『巫女服』『ウーマナイザー』『PlayStationVitaとBluetooth』という三枚の意☆味☆不☆明のカード!」しかないのでサレンダーしかありません。 頼むこれを捨ててくれ虫野郎。
ではこの辺で。 行きつけのお店が空いていると夏休みが終わった感じがします。
ではここで一発ギャグ
夏休みが欲しい乗務員
『vacation please』




