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前回サラッと畜生認定されてたの気になる

翌日


先日の約束通り、橘花は奏士を連れ、公園に出向いた。 無論、奏士は橘花の手をしっかり繋いでいるし、ニギニギも忘れない。


「……なんでさっきからずっと手をニギニギしているんですか?」


「橘花ちゃんのお手手がスベスベプニプニで心地いいから」


「気持ち悪いので離してください。 あと"橘花ちゃん"はやめてください」


「えー」


愛しの妹に嫌われるのは流石に勘弁らしく、奏士は全力で嫌そうな顔をしながら渋々手を離す。 最後に1ニギだけして。


晴れた春の昼下がりということもあってか、公園には子連れ主婦がそれなりに見える。


とは言っても、流石に奏士達くらい大きな子どもはほとんど居ない。 どれもベビーカーに乗っているような未就園児だ。


「人がゴミだな」


「せめて最後までちゃんと言ってください。 それだとただの悪口です」


「お兄ちゃん自分含めて橘花ちゃん以外の子ども嫌いだから間違ってないぞ」


「お兄ちゃん色々と大丈夫ですか?」


隣のイカれた兄を心の底から心配そうな目で見上げる橘花だが、奏士はこれで常時平常。 平常時運転だ。 ペニ○ワイズがハンドル握ってそうな言い方。


「それよかマイシスター。 今日の公園は落ち着いて描ける場所無さそうだぞ」


公園内を軽く見回して言う。 公園内の人数ならそこまでギチギチでは無いが、いかんせん住宅街の小さな公園故にそこまで広くない上にベンチの数も多くない。


それに加え、数少ないベンチや休憩所も子連れ主婦達で埋まっているのでスペースも疎ら。 空いているとなると、日当り良好交通量最高人通りMAXな入口付近のベンチだけだ。


そんな空いているベンチも、道路が近く危険が多いので、大事な大事な妹を座らせるのはお兄ちゃん的にナシナシのナシな様子。


「どうする? あの木の下当たりで描くか? 日陰だから涼しいぞ」


「でも、座るところがありませんよ」


「それは俺が椅子になるで解決するだろ」


「別の問題が発生しているので却下です」


「え〜」


「妹の尻に敷かれるなら本望です!」とでも言いたげな奏士を見ないふりして橘花はベンチに向かう。 兄が何言っているのか理解できてしまう頭の良さを今だけは手放したいと思いつつ、不可能だと諦めてスケッチブックを開く。


「お兄ちゃん、ペン出してください」


「へいただいま」


言われて鞄から色鉛筆の入った筆箱を取り出し、渡す。 妹の忠実なる下僕である奏士は、橘花の要求にはノータイムで従う。 なるほどこれは犬畜生だ。 犬よりは知能が高そうだけど知性は多分同じ。


「橘花ちゃんだいぶペン削れてきたな。 新しいの買い足すか?」


「いえ、まだ持って描くだけの長さはありますし、お小遣いが勿体ないので大丈夫です。 あと橘花ちゃんはやめてください」


「可愛いのに橘花ちゃん。 成長して大人になったら反抗期が来るだろうし、こうしてお兄ちゃんと気軽に触れ合ってくれなくなるだろうし。 言える今言っておこうかなって」


「なんですかその言い分…………私はお兄ちゃんみたいに子どもじゃないのでそんなことは起きません!」


「えっ………つまり大きくなってもお兄ちゃんとデートしてくれるってこと?」


「ち・が・い・ま・す!」


「分かった。 お兄ちゃん政治家目指す。 そんでもって民法改正して絶対給料3カ月分の明細と指輪渡す」


「要りません!」


気分が良くなったのか、奏士は橘花の頭をよーしよしと撫でまくる。


なお、先程の宣言の眼は奏士の人生史上最もガチだった事だけ残しておこう。 こいつなら本当にやりかねないというかやらかしかねないというか。 色んな意味で歴史に名を残す政治家になりそうだったのでならなくて良かったと。


そんなアホは居ないものとして処理し、橘花はスケッチブックにペンを走らせる。 今日の絵は公園の風景画の模様。


橘花が真剣お絵描きモードに入ったので、暇を持て余した奏士は日向ぼっこをしながらぽけーっと考え事。 勿論、橘花への意識と周囲の警戒は忘れない。


考え事と言っても、何か目的があってするほどのものでもなく、ただ暇を潰し時が過ぎるのを待つだけに過ぎない。 流石の奏士も、この頃は今ほど広い世界では無いらしい。


『俺の妹ガチ可愛いな』


どうやら世界が広いとか狭いとかそんな話ではないらしい。 こいつ今も昔も根本的に変わり無さすぎる。 子どもの頃の方が人間らしいとかどうなっとんのじゃ。


「? なんですかお兄ちゃん」


「気にするな。 橘花ちゃん今日も可愛いなって思ってただけだ」


「はぁ? 急に何言ってるんですかお兄ちゃん」


毎度毎度変なことしか言わない兄に対し、橘花は引き気味でというか物理的にも距離を取る。 最近は愛が伝わりにくいのが悩みのお兄ちゃん。


「お兄ちゃんは少しくらい妹離れをしてください。 そんなんで今後大丈夫なんですか?」


「義務教育中は難しいけど高校は浪人するから大丈夫」


「いえあの、『今後学校で私と離れ離れになって大丈夫なのか』って意味で聞いていないです」


「橘花ちゃん真顔で敬語使うのはやめようか。 お兄ちゃん泣いちゃう」


今のところカッコイイシーンが無さすぎるゲロダサカス虫お兄ちゃん。 『泣いちゃう』とか言っておきながら、マイシスターの冷酷な目にちょっと興奮している気がするのは目覚めが早過ぎないか?


「まぁ学校云々は後で考えるとして。 お兄ちゃん的には橘花ちゃんの方が心配です」


「心配? 何がですか?」


橘花はスケッチブックから目を離さずに聞く。 もう兄へ割く意識はほぼ無いと見える。


「橘花ちゃんもうすぐ小学生、JSになるじゃん? 橘花ちゃん最高に可愛いじゃん? 絶対クラスのクソカス共が気を引くために嫌がらせしたりするんじゃん? 橘花ちゃん可愛いからクラスの女子の反感買って仲間はずれにされたりするじゃん? 言ってて思ったけどやっぱ学校はクソだわ。 橘花ちゃん行かなくても良くない? 何もかもお兄ちゃんが代わりに教えるからさ」


「心配性にも程があります。 お兄ちゃんが思うほど酷いことは早々起きませんよ」


呆れ顔で物を言う橘花に対し、奏士は達観した目で返す。


この男、基本的に人付き合いが嫌いなので既に学校では半孤立しているし、本人が意に介してないだけでイジメのようなこともされている。 良くも悪くも、いじめた側は相手が悪すぎるて大事になっていないが。


「橘花ちゃん虐められたらちゃーんとお兄ちゃんに全部言うんだぞ。 お兄ちゃんそんな畜生には誠心誠意真心込めてお仕置してあげるから」


「お兄ちゃんがそういう時はいっつも変な事しかしないので嫌です」


「信用ね〜」


相変わらずの辛辣さに息を吐くしかなくなり、奏士は両手を上げて降参する。 年中無休で妹にはベタ甘なのだ。


橘花が再びお絵描きモードに入ったので、奏士は再び時間を潰す。


何となく公園の子連れ主婦の数から地域の世帯数を逆算してみたり、以前テレビで見た未解決問題とやらを考えてみたり。


思考内容は見た目に反して高度だが、一見するとただ子どもがぼーっと空を見上げているようにしか見えない。 普段からこうだったらまだマシなのにとは誰かの意見。


「……?」


そんな最中、背後に気配を感じて振り返る。


『さっきまで気配な感じなかったが、足音は聞こえなかった。 地面が砂利だらけなので音を立てずに歩くのは意識しないと難しい。 相手が暗殺一家では無い限り』


『となると、こっちが座る前からいた先客で、今の今まで橘花にだけ意識が向いてて気付かなかった。 まだ俺も甘いな』


と、なんか勝手に一人で盛り上がってる奏士はさて置いて。


普段ならそこで興味が切れるが、なぜだか今回は誰なのか気になって奏士はその人物の背後からじっと見る。


その視線に気付いてか、彼の者も振り返り、奏士と目が合う。


少女だ。 それも奏士達と然程変わらぬ歳だろう。


まず目に入るのは見慣れない銀髪。 流石の奏士と言えど、初めて海外の血を見て思わず魅入る。


次に魅入ったのが大きな双眸。 サファイアのように輝き、ラピスラズリのように青く美しい瞳。 まさに銀髪碧眼。


そして白い肌にこれまた白いワンピース。 全体的に白か青しかなくて奏士はふと、「作画面倒くさそうだな」と思った。 いやほんと実際立ち絵とか三面図にすると結構難しくて。


「…………」

「…………」


お互い見つめあったまま、特に言葉を交わすこともなく時が止まったかのように微動だにしなかったが、少女側が顔を背けたことで時が動き出す。


「…………」


「? お兄ちゃんどうかしましたか?」


「ん? ああいや。 この辺じゃ見ないものを見たんでな。 驚いちまった」


「そんな珍しいものなんですか?」


「俺も初めて見たしな。 でも残念。 もうどっか行っちゃった」


「え〜 そんなに珍しいものなら私も見てみたかったです」


「どうせそのうちお前も見る機会があるだろ。 それよかほれ、お絵描きはどうなんだ?」


「うーん……今日はイマイチの出来です」


橘花が見せてきたスケッチブックには、傍から見ればこれ以上ないってほどに表現された1枚が描かれていた。 流石にプロの美術と比べると稚拙だが、橘花がまだ年齢1桁であることを考えればそこらの美大生に勝るとも劣らない出来だ。


「お兄ちゃんならこの絵をどう直します?」


「橘花ちゃんほど絵に精通してないし精通もしてないしなぁ……どれ、お兄ちゃん試しに描いてみるから、別のページ貸してくれ」


奏士は橘花から受け取ったスケッチブックにサラサラと鉛筆で描き始める。 まるで最初からどう動かすのか全て分かっているみたいに速く。


「……お兄ちゃんの方が上手です」


「これでもお兄ちゃんだからな。 妹より下手だったら立つ瀬が無い」


『と言っても、模写しかできないけどな』と心の中でボヤきながらカリカリと走らせる。


隣では橘花が悔しそうにしたり新たな発見を得て目を輝かせていたりと百面相をしている。


が、奏士にしては珍しく橘花の様子は半分しか入ってこなかった。


というのも、先程見た謎の銀髪が妙に頭から離れなかった。

はいどーもみなさんこんにちは

夢中で書いていたら12過ぎていた作者です。 時の流れは怖いですね。 私まだ晩御飯食べてませんし、お風呂にも入っていません。 明日は早起きしなきゃなのに。


そんなこんなですが、特に今週も残すことないのでこれにて。 時間すぎてますしね。 では

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