第三十話「立ちはだかる強敵」
俺の日々は変わらない。
毎日走り続ける。
この先に神が待ち構えているからだ。
俺は走り続ける。
神に挑むために。
「勝!」
アルファートの声が聞こえた。
「大変なことが起きた、お前は逃げろ!!」
逃げろ?
どういうことだ?
「グッ!?」
一瞬だった。
気が付けば俺は心臓を剣で突き刺された。
「さすがは邪神だが力はあるようだね」
俺の能力は尋常じゃない。
剣で一突きされたぐらいで俺は死なない。
しかし、急に現れて俺を刺してくるとは。
神はまだ手駒を残していたようだな。
しかし、一瞬でこの事態が起こったってことは、やつもそれなりに強い能力をもっているのか。
「初めましてだね。神に挑む愚か者よ」
そいつはオルトンの時のやつと同じ白い服を来ていた。
オーラも神々しい。
間違いない。神の化身だ。
「ほう、お前も神の化身か」
「さすがは邪神アルファートの手先」
な!?
こいつ?
俺のパートナーを知っている?
一応神奈たちにも邪神がいることは知っているし。
神奈の能力でも誰にどのパートナーがいるかとかは分かる。
こいつも同じ能力の持ち主か。
神の化身だからか?
厄介だな。
「いやあ、神にそこまでさせるとは君は厄介な存在だよ」
「それは光栄だな」
「君にも死んでもらうよ。仲間と共にね」
仲間?
まさか!?
俺はホテルの自室へとワープした。
まさか……まさかな……。
「そんな!?」
最悪な事態が頭をよぎっていたがその通りだった。
俺の目の前には血まみれの二つの生首が横たわっていた。
それが誰の首か俺は知っている。
そんな……。そんな……。
「安心して、君もすぐ彼らの元へ向かうから」
「きぃさまああああああああ!!!」
新木新の時と同じ。
いやそれ以上の怒りが俺の中にこみ上げていた。
こいつ、絶対殺す!!
「はあああああ!!」
俺は剣をやつに振り払うが、やつはそれをいとも簡単に避わした。
「グフッ」
俺はやつの剣技に圧倒されていた。
「ほら、逃げないと、ワープする能力だけは君だけが上なんだから」
逃げて給うか。
仲間をやられて。
俺だけのうのうと。
逃げて……られるかあああああ!!!
「グハッ」
俺は必死に闘っている。
俺には力がある。
それを駆使して戦ってるのに。
やつはそれを赤子の手を捻るが如く簡単に避けて見せた。
「逃げろ! 勝!!」
アルファートの声が聞こえた。
「今のお前じゃこいつは倒せん! 逃げろ!!」
だけど!?
「ここでやられてどうする? お前は自分の望みも捨てる気か!?」
望み。
幸福な世界を作ること。
「仲間を失った気持ちは分かる。だが、今は引け」
クソッ!!
俺は諦めてワープして逃げた。
やつはそれでも追いかけてきた。
だから何度もワープして逃げた。
やつの姿は見えなくなった。
「なあアルファート」
「何だ?」
「神ってあんな残酷なことを平然とやってのけるのか?」
「そうだ。神とはあんなやつだ」
「だったら俺は神を殺すよ」
「私も同じだとも」
康夫……。神奈……。
神よ。お前だけは許さない。
俺から仲間を奪った罪、大きいぞ。
俺の神への復讐が始まる。




