第二十八話「温もり」
目を覚ますと、どこかのの一室に俺はいた。
少し顔を逸らすと、俺の手を握っている神奈。
それを見守っている康夫の姿があった。
「んっぐ」
「あっ勝!!」
「勝さん!!」
俺が起き上がった瞬間、二人は感嘆な声を上げた。
「俺は一体」
「心配したのよ。もう!!」
「そうか、すまんな」
「康夫、席を外してくれないかしら」
「え? でも私も彼を」
「それは私の後から、で、いいでしょ?」
「分かりました。では」
康夫はその場から立ち去った。
康夫が立ち去った瞬間。
「良かった……。良かったあ!!」
と神奈が俺を思いっきり抱きしめた。
「どうした? 急に」
「勝が生きてて、良かった」
生きてて良かった。
嬉しい言葉だ。
いじめられてたときは皆から死ねと言われてた俺。
誰からも生きてて良かったと言われたことがない。
家族ですら。
そんな俺に初めて神奈はそんな声をかけてくれた。
「私、勝が大好き。勝の全てが……好き」
「…………」
「ごめん、迷惑……かな?」
「そんなことないさ」
何か胸がドキドキする。
これは……恋なのだろうか。
「なあ、神奈」
「え?」
俺もいつの間にか神奈を抱きしめ返していた。
「今は人の温もりを感じていたい」
「私も勝の温もりを感じていたい」
「しばらく、このままにさせてくれ」
「うん、いいよ」
神奈は俺が目覚めるまでずっと俺の手を握ってくれた。
俺のためにここまでしてくれる人は初めてかもしれない。
神奈が愛おしく見えた。
これって恋になっちゃうのかな?
人生初の恋だ。
彼女を幸せにしたい。
もちろん康夫もだ。
俺は神を倒し皆が幸福でいられる世界を作りたい。
康夫。神奈。待っててくれ。
お前たちが俺にしてくれた恩、必ず返すから。
「なあ、神奈」
「何?」
「世界が幸福になったらさ。俺と康夫と神奈三人で楽しく過ごそうぜ」
「私は不服かな」
「どうして?」
「勝と二人きりがいいの」
「康夫がかわいそうだろう」
そんな惚気話をしつつ。
俺は今日を終えた。




