第二十一話「幸福な世界」
俺は元の場所に戻っていた。
いきなり現れてはびっくりされるので、ドアの向こうから入ってきた。
「ただいま」
「勝。良かった……良かったあ」
神奈が涙声で俺の名前を呼び抱き着いてきた。
「心配……かけたな」
「本当に心配したんだから」
そういや。
「お前の能力は飾りか?」
「何? また思考を読んでほしいの?」
「オルトンの時さ、お前の能力を発揮すれば彼の近くに味方がいるかとか分かるんじゃないか?」
「あの時はオルトンの声明に驚いて力を発揮できなかったのよ」
「ほう」
まあいい。
「それで? オルトンをやったの?」
「いいや、やらなかった」
「チャンスだったのに!? どうして!?」
「正々堂々と戦いたかったのさ」
「まあいいや、勝が生きててくれただけで私は良かった」
「そうですよ勝さん」
康夫が口を挟んだ。
「神に挑む力をもつ勝さんがいなきゃ、私たち報われないのですからね!」
そういや疑問だった。
「康夫」
「どうかしました?」
「神奈が俺についてく理由は分かる。だがお前はどうしてだ?」
「楽しいから……に決まってるでしょ」
康夫は語りだした。
ただサラリーマンとなって一生働いて終わるのは嫌なこと。
正義の味方に憧れてる事。
俺が正義の味方に見えるなど。
「だから私は……あなたについていくんです」
そうか。
俺が正義の味方に見えるか。
俺は神に抗おうとしている。
俺は今、悪を成しているのかもしれない。
本当は分かっているのだ。
自分が正義の味方じゃないのかもしれないということ。
だって俺は人を殺している。
法的に見れば悪だ。
だけど俺は正義を歌う。
なぜなら幸福な世界を作ろうとしているからだ。
例え今は悪でも、最後は正義になるんだ。
俺は止まる気はない。
これからどんな敵が待ち構えているかは分からんが
俺は止まるつもりはない。
俺が止まるときが来るということ
それは……。
幸福な世界がやってきたときだ。




