第二十話「食い違う者たち」
さて、オルトンの元に辿り着いたわけだが。
オルトンは真夜中の0時どこか名残がありそうな場所で一人で立ち尽くしていた。
その様子だと味方がいるようには見えない。
いや、どこかに隠れているのか?
まあいい、オルトンとやらと話をしてやろうじゃないか。
「来てくれましたか、勝さん」
「ああ、約束通り来たよ」
「見た感じ結構疲れてる様子ですね。大丈夫ですか?」
こんな時に人の心配か?
自分が殺されるかもしれないのに
「大丈夫だ。それより話とは何だ?」
「貴方はなぜ神に逆らうのですか?」
何だ。愚問だな。
まあ答えてやろう。
「俺が神になって幸福な世界を作ろうと思ってるからだ」
「幸福な世界……私が望んでいること……」
こいつも幸福な世界を望むか。
オルトンはしばらくため息をついた後こう言い放った。
「神に逆らわなくても、幸福な世界は作れるんじゃないでしょうか?」
「何が言いたい?」
オルトンは語りだした。
世界が幸福になるように毎日祈り続けているということ。
貧しい人たちに奉仕的な活動をしていることなど。
「勝さん。貴方も私と一緒に幸福な世界を作りませんか?」
オルトンは悪いやつじゃない、それは分かる。だが
「幸福な世界は作るさ」
「それじゃあ」
「お前とは違う方法でな」
俺はナイフをオルトンの前に突きつけた。
「!?」
「安心しろ。お前に敵意がないことは分かる」
「それならなぜ!?」
「お前一人の善意でこの世界は変わりやしない」
「…………」
「俺は神を倒し、最初から誰もが幸福でいられる世界を作る」
「…………」
「あばよ。オルトン、次会うときがお前の死期だ」
そう。
一人が善行をしたところで世界は変わらないのだ。
”一人一人が変われば”なんて言葉もあるが、
それも無意味な言葉に過ぎない。
人はそう簡単には変わらない。
そんな綺麗事で世界が変わるわけがないのだ。
力。
そう力だ。
力があれば世界は変わる。
歴史がそれを証明している。
力があれば自分の都合の良い世界に変わるのだ。
個人から国家レベルまでそれは変わらない。
俺に対して反感を抱いている人もいるだろう。
だが俺は作る。
例え、それが自分にとって都合の良い世界でも。
「あばよ。オルトン、次会うときがお前の死期だ」
そう言うと彼は去っていきました。
どうして!?
皆目指しているものは同じはずなのに。
どうしてこうも食い違うのでしょうか?
戦争、貧困、飢餓。
私はそれらを無くすために頑張ってきました。
今では大司祭になり、人を導く立場にもなりました。
しかし……。
これら3つの言葉は無くなりません。
でも私は諦めません。
いつか、これらの不幸が無くなると信じています。
私はささやかですが、それらのお手伝いが出来ればと思っています。
彼にも……いつか分かってほしいです。




