第十話「勝救出作戦3」
「ここが彼の家ね」
加藤康夫。35歳。
どこにでもいる普通のサラリーマン。
しかし、彼は力を手に入れた。
透明になれる力を。
今のところの彼の情報はこれぐらいかな?
それ以上は必要ないだろう。
私は彼の家のチャイムを押した。
「ウェルカ~ム!!」
うん、予想できた。
彼が浮かれてることは。
「その様子だと随分嬉しそうね」
「そりゃあ、力を手に入れたんだからね」
力。
私も初めて力をもったときとても嬉しかった。
この力で世界を壊すことができるなら尚のこと。
だから彼の気持ちも分からないわけではない。
「それじゃあ早速行きますかあ!」
「ちょっと待って」
一応彼の力を確かめたい。
「どうしたの? 私の服なんか掴んじゃって」
「ちょっと貴方の力を試したいと思ってね。いいでしょ?」
「オーケー、オーケー、オーケー構わないよ」
この人こんなお調子者だったっけ?
私が最初に知った情報だと結構真面目な性格だったみたいだけど。
とりあえず私はこの人の服を掴んだまま人気が多い場所に向かってみた。
そして、この人の片腕を上げて大きく叫んだ。
「すいませーん! この人痴漢でーす!!」
「ちょっ!? いきなり何言い出すの!?」
反応なし。
ってことはビンゴね。
この人の能力は自分だけじゃなく、他の人も透明にできる力を持っている。
私が感知した情報通りだわ。
「ありがとう。貴方のことはだいたい分かったわ」
「もう! 驚いたよ。あそこまで大胆にやられるとは」
「それじゃあ早速向かいますか」
「どこへ?」
「神に挑む力をもつ青年のところへ」
グレンシャインは言っていた。
彼の力が無いと神は倒せないと。
私たちは彼の駒に過ぎないのかもしれない。
でも、それでもいいの。
この世界を壊せるのなら。




