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盲目貴族は小説を書きたい。  作者: Yな奴
盲目の少年

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3/12

魔法で紙を作りたい。

 まともに喋れるくらいにまで成長したが、相変わらず目は見えないままだった。

 母の顔や見た目を知ることもできないまま、月日が流れていく。僕は目が見えない事に慣れ始めてきたが、小説が書けないという問題に頭を抱えていた。


「小説が書きたい…」


 ここには、鉛筆も紙も無かった。

 日常的に紙や鉛筆を使う事がないから、家に何一つ無かったのだろう。

 母に頼み込んでみたが、次にペンを買ってきてくれるのは1週間後だと言っていた。

 はっきり言って、もう待てない。

 1年以上も小説を書くことを我慢してきたのだ、何としてでも今すぐペンを握って書きたい。


 そういえば、母が魔導書を数冊持っている事を思い出した。

 僕は母の自室に歩いて行く。

 そして、母に魔導書を読み聞かせて欲しいと頼む。


「お母さん、魔導書ってありますか?」


 母が興味深そうな風に口を開いて言った。


「あら、魔法に興味があるのかしら?キャシー。」


 どうやら、母は僕が魔導書に興味を持った事を嬉しく思っているようだ。


「興味…まぁ、はい。」 


 興味はあるけど、紙と鉛筆を魔法で作り出す以外に興味なんてないけどね。


「読み聞かせて欲しいのでしょ?」


 本題に入る前から、母は僕の考えている事を分かっていたようだ。


「うん。」


 母は魔導書を開きながら僕に言った。 


「あなたの魔力は木属性だったから…」


「木属性に関する魔導書を読み聞かせるわね。」


 僕の魔力が木属性…?そんな事は初耳だった、ていうか魔力に属性がある事も知らなかった。

 母が魔導書を読み上げながら、魔法の使い方を教えてくれる。非常にわかりやすく、案外と簡単に魔法は使えた。


「今日は、ここでおしまい。」


 外が暗くなった頃、母は魔導書を閉じた。 

 そして、僕に眠るように言う。


「キャシー、もう寝る時間よ。」


 もう少し魔導書を聞きたかったが、僕は仕方なく自分の部屋に戻る。

 自分のベッドに潜り込み、さっき聞いていた魔法を為にした。


「さっきは枝しか出せなかったけど。」


「上手く調整すれば…」


 魔力のバランスを調整しながら、生成させる木を変化させていく。

 やがて、変化した木は1枚の紙となった。


「で、できた…!」

 

 始めて魔法が役に立った瞬間だった。


「この調子で鉛筆も作ってみようかな。」


 勢いに任せて鉛筆も生成してみた、結果は成功で1本の鉛筆が手に入った。


「これで…やっと小説が!」


 鉛筆を握った時に僕はある事に気が付いた。


「あれ…どう文字を書けばいいんだ?」


 何も見えない目で、どうやって紙に文字を書けばいいのだろうか。


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