魔法で紙を作りたい。
まともに喋れるくらいにまで成長したが、相変わらず目は見えないままだった。
母の顔や見た目を知ることもできないまま、月日が流れていく。僕は目が見えない事に慣れ始めてきたが、小説が書けないという問題に頭を抱えていた。
「小説が書きたい…」
ここには、鉛筆も紙も無かった。
日常的に紙や鉛筆を使う事がないから、家に何一つ無かったのだろう。
母に頼み込んでみたが、次にペンを買ってきてくれるのは1週間後だと言っていた。
はっきり言って、もう待てない。
1年以上も小説を書くことを我慢してきたのだ、何としてでも今すぐペンを握って書きたい。
そういえば、母が魔導書を数冊持っている事を思い出した。
僕は母の自室に歩いて行く。
そして、母に魔導書を読み聞かせて欲しいと頼む。
「お母さん、魔導書ってありますか?」
母が興味深そうな風に口を開いて言った。
「あら、魔法に興味があるのかしら?キャシー。」
どうやら、母は僕が魔導書に興味を持った事を嬉しく思っているようだ。
「興味…まぁ、はい。」
興味はあるけど、紙と鉛筆を魔法で作り出す以外に興味なんてないけどね。
「読み聞かせて欲しいのでしょ?」
本題に入る前から、母は僕の考えている事を分かっていたようだ。
「うん。」
母は魔導書を開きながら僕に言った。
「あなたの魔力は木属性だったから…」
「木属性に関する魔導書を読み聞かせるわね。」
僕の魔力が木属性…?そんな事は初耳だった、ていうか魔力に属性がある事も知らなかった。
母が魔導書を読み上げながら、魔法の使い方を教えてくれる。非常にわかりやすく、案外と簡単に魔法は使えた。
「今日は、ここでおしまい。」
外が暗くなった頃、母は魔導書を閉じた。
そして、僕に眠るように言う。
「キャシー、もう寝る時間よ。」
もう少し魔導書を聞きたかったが、僕は仕方なく自分の部屋に戻る。
自分のベッドに潜り込み、さっき聞いていた魔法を為にした。
「さっきは枝しか出せなかったけど。」
「上手く調整すれば…」
魔力のバランスを調整しながら、生成させる木を変化させていく。
やがて、変化した木は1枚の紙となった。
「で、できた…!」
始めて魔法が役に立った瞬間だった。
「この調子で鉛筆も作ってみようかな。」
勢いに任せて鉛筆も生成してみた、結果は成功で1本の鉛筆が手に入った。
「これで…やっと小説が!」
鉛筆を握った時に僕はある事に気が付いた。
「あれ…どう文字を書けばいいんだ?」
何も見えない目で、どうやって紙に文字を書けばいいのだろうか。




