表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鳥になった俺は、ある女の子に恋をした。  作者: あまね


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

6/11

俺は魔法をかけられた

『記憶喪失少女は、それでも生きていく』番外編。


★☆本編も読んでいただくと、より楽しめます☆★


● 本編はこちら●

https://ncode.syosetu.com/n0106ke/

目を覚ますと、俺はある部屋で寝ていた。

窓の外では、太陽が昇り始めていた。


……朝か?

……しまった。


昨日の報告会に出られていない。

絶対にみんなに心配されているはずだ。


右の翼を動かしてみると、痛みは残っているが、耐えられる。

俺はすぐに風の魔法でジルに事情を伝えた。


……異界の人間に襲われ、負傷したこと。

……そして、別の異界の人間に助けられたこと。

……負傷により、今は任務を遂行できないこと。

……鳥の姿では、完治まで数日かかる見込み。


伝え終えると、俺は部屋を見回した。

俺は机の上に寝かされていた。


小さな柔らかい布団の上で寝ていて、タオルまでかけられていた。

……丁寧だな。


部屋には、ベッドや本棚、机と椅子が並んでいた。

……寝室か?


ベッドの上には、誰かが寝ていた。

頭まで布団をかぶっていて、顔は見えない。


ベッドへ飛ぼうとした瞬間、右の翼に痛みが走った。

俺はそのまま、布団の上で、その人物が起きるのを待つことにした。


……


なかなか起きない。

どのくらい経ったのだろうか。

さっきまで太陽は少し顔を出したばかりだったのに、今はもう強い光が部屋を照らしていた。


「……おい、起きろ」

俺はその人物に声をかけた。


「……」


まったく動かない。

……生きているのか?


「……おい!起きろ!」


「……」


……どうやら、自分の鳥のさえずり声では、この人物を起こせないようだ。


……さらに待つ。


どのくらい経ったのか。




——コンコン!


……ビクッ!


驚いて、羽がぶわっと逆立った。


「あずか、起きなさい」

昨日の母親が部屋に入り、その人物の体を強く揺らした。


……あずかなのか。


「……」

「いつまで寝るつもり!?もう十時よ!起きなさい!」

「……あと、五分」

「起きなさい!ペットショップに行くでしょう!?」


今度は母親が、あずかの手を引っ張り、ベッドから引き剝がした。


……ぺっとしょっぷ?


なんだ、それ?


「あんた、何時寝たの?ご飯を食べたら、すぐ出るよ」


あずかは眠たそうに目をこすりながら、しばらくぼんやりしていた。

そして、目を見開いた。


「……あっ!ペットショップ!

も——————う!

早く起こしてよ、お母さん!痛っ!」


母親は軽くあずかの頭を小突いた。


「いいから、さっさと準備しなさい。鳥のほうがあんたより、早起きしているんじゃないの」

母親は俺を見て言った。


あずかは俺のほうへ視線を向けた。

「……あっ!ソラだ!もう起きたの?」


そう言って、嬉しそうに駆け寄って来た。


「早く準備しなさいよ」

母親は部屋を出ていった。


「ソラ、おはよう~。傷はもう大丈夫?まだ痛い?」


……そら?


なんだ、それ?


あずかは可愛らしい笑みを浮かべ、優しく俺の頭を撫でた。

俺は小さく首を横に振った。


「……うん?……あれ?今私の言ったことわかったの?

……そんなわけないか。たまたまかな」

あずかは首を傾げ、そして小さく笑った。


……不思議な子だ。


「お父さんとお母さんは、ソラを飼ってもいいって許可してくれたよ。

これから一緒に、山村家で暮らそうね」

あずかはそう言いながら、俺の頭を撫でた。


やまむら家?

あずか・やまむらという名前か。


……どこまでも優しい子だ。


……そら、とは?


「このあと、ペットショップに行くの。鳥かごとか餌とか、ソラの買い物をしてくるよ。

ちょっとだけ、ひとりでも大丈夫?」


……そら、とは俺のことか。


……ぺっとしょっぷ、とは何だろうか。


よくわからない言葉だが、俺は小さく首を縦に振った。


「本当にすごいね、私の話を理解してるみたい。ふふ〜可愛い〜」

あずかは嬉しそうに俺の頭を撫でた。


……優しくて、温かい手だ。


なぜか、心をぎゅっと掴まれたような気持ちになった。


……何なんだ、今。


あずかは部屋を出ていった。

しばらくすると、部屋に戻ってきた。


クローゼットの前に立つと、何のためらいもなく——

服を脱ぎ始めた。


……っ!


俺はすぐに顔を逸らした。


……まったく!


男の前なのだから、もっと警戒しろ!


俺は自分の鼓動を抑えながら、あずかの着替えが終わるまで、ずっと窓の外を眺めていた。


「じゃあ、行ってくるね」

あずかは俺の頭を撫でた。


俺の世界とは、まったく違う服を着ていた。

濃い青色の長ズボンに、

袖のない白い服。


黒髪は腰まで伸び、小さな髪飾りをつけていた。

年相応の可愛らしい服だった。


あずかの黒い髪と瞳。


これは、おそらく異界の人間の特徴だろうか。

この世界に来てから見た異界の人間はほとんど黒髪に黒目だった。


あずかも例外ではない。

だが、あずかだけは、不思議と強く印象に残る。

純粋な黒い瞳は、なぜか目が離せない。

髪も艶やかで、触れたらどれほど心地良いのだろうか。


……なぜか、人の姿でいられないことが、少し惜しく思えた。



「水とご飯をここに置いとくね。すぐ戻ってくるから、心配しないでね!」

あずかは再び俺の頭を撫で、鞄を掴んで部屋を出ていった。


……だが、すぐ戻ってきた。


「ソラの写真を撮らなきゃ」


あずかは言いながら、鞄から四角い道具を取り出した。

あずかの手に収まるほどの大きさだ。


……何だ、それ?


「ペットショップの人にソラを見せないと。餌の種類を知らないの」


——パシャッ!


その道具から、耳障りな音が鳴った。


……俺、今、何かの魔法をかけられたのか?



「行ってくるね!」

あずかは再び部屋を出ていった。


今度は、すぐには戻ってこなかった。


部屋は静まり返った。



あずかの声は透き通っていて、心地良い。


あずかがいないと——


寂しく感じる。




……やはり俺は。


魔法をかけられたのか。


ここまで読んでくださりありがとうございます!


少しでも「面白い」「続きが気になる」と思っていただけましたら、

下の☆☆☆☆☆で応援していただけると嬉しいです!


ブックマークもとても励みになります!


(ृ´͈ ᵕ ͈ ृ ) (ㅅ´ ˘ )

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ