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鳥になった俺は、ある女の子に恋をした。  作者: あまね


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俺が選ばれた理由

『記憶喪失少女は、それでも生きていく』番外編。


★☆本編も読んでいただくと、より楽しめます☆★


● 本編はこちら●

https://ncode.syosetu.com/n0106ke/

団長はイリアス隊長に視線を送った。


「だから、イリアス。おまえの護身魔法はこの任務に必要だ。よろしく頼む」


「そんな百年の門の影響に、私の護身魔法だけで防げるとは限らないのでは?」


「鳥の姿になってから、おまえに護身魔法を使ってもらう。

人間の姿より、体が小さい分、魔力が拡散せず、鳥の姿の方が魔法を浸透させやすい。

それに強化道具も用意された。おまえの魔法の効力を底上げできる」


「あぁ、そういうことですね。承知いたしました」


「……なるほど。鳥への変身は、私の役目ですか?」

ジョエル隊長は自分を指さしながら、言った。


「そうだ。この任務のために選ばれたおまえの役目だ。

鳥の姿であれば、門の影響が幾分か緩和されるそうだ。

だからこそ、おまえの特殊魔法はこの任務に欠かせない。

全員を鳥へ変身させるのは大変だろうが、頼むぞ」


「つまり、こちら側で変身させ、護身魔法をかけてから、異界へ向かう、ということでよろしいでしょうか?」


「そうだ。異界では、魔力はかなり制限されてしまうからな。

すべてこちら側で準備してからだ。強化道具も使え」


「了解いたしました」


「ちなみに、任務の期間はどのくらいですか?」

トーマス副隊長は尋ねた。


クラウド団長は小さくため息をつき、首を横に振った。

「……それは、誰もわからない」


トーマス副隊長は目を見開いた。

「……えっ、わからない?」


エミール副団長は口を開いた。

「百年の門は勝手に開き、勝手に閉じる。

だから、この任務は、門が閉じるまで続くことになる」


「……本当ですか?」


「終わりの見えない任務ですね」

イリアス隊長は苦笑した。


「文献では、六ヶ月も長引いたときもあったらしい」


「……半年」

誰かが呟いた。


クラウド団長はみんなを見回した。


「この任務は、極秘だ。絶対に漏らしてはいけない。

誰かに漏らせば、大逆罪に等しい罰を受ける。忘れるなよ」


執務室がしんと静まり返った。

誰かが唾を呑む音さえ聞こえた。


「おまえたち以外に、ファビアン殿下も同行なさる」

クラウド団長は続けた。


「ファビアン殿下は、異界の情報を収集し、次代へ正確な記録を残すために同行なさる。

王族としての務めだ。

王族は代々、百年の門の記録を直接確認する役目を担っている。

殿下にも、おまえたちと同様に鳥へ変身していただく。

ただし、おまえたちの見張り任務には関わらない。

あくまで記録のための同行だ」


その沈黙の中、俺は口を開いた。

「あの、団長……」


団長は何も言わず、俺に視線を送った。


「異界の人間と接触してしまった場合はどうしますか?」


「原則接触禁止だ。こちらの存在を知られてはならない。異界の秩序を乱すな。

やむを得ない場合を除き、会話も干渉もするな」


……なるほど。

まあ、鳥の姿だから、異界の人間と関わることはないだろう。


「承知いたしました」


「他に聞きたいことがあるか?」

その場の騎士たちは首を横に振った。

「では、話は以上だ。下がってよい」


騎士たちは次々と執務室を出ていった。


「クラウド団長、よろしいでしょうか」

執務室を出ようとしたとき、俺はふと、ひとつ気になったことがあった。


「なんだ?」


俺は足を止め、団長へ向き直った。

「なぜ、私がこの任務に選ばれたのでしょうか?」


「なぜそんなことを聞く?行きたくないのか?」


「いいえ、そうではありません。

このような重大任務に参加できること、光栄です。

しかし、私は入団してまだ二年しか経っていません。

そんな経験の少ない私がなぜ選ばれたのか……」


クラウド団長とエミール副団長は顔を見合わせ、ため息をついた。


「俺たちもできれば、おまえやジル、マーティスを行かせたくはない」


「……では、なぜ……」


「俺たちの判断じゃない。大賢者様のご意向だそうだ」


「大賢者様のご意向……?」


「俺も詳しくは知らん。だが、アーロン大臣から、おまえを大賢者様が指名したと聞いている」


「そして、マーティスとジルも一緒だったら、なお良い、とのことだ」

エミール副団長は続けた。


「そうですか……」


つまり、この任務に俺を選ぶ理由があるのだろう。


マーティスとジルにも、何か意味があるのだろうか。


大賢者様の意図は分からない。




胸に小さな棘を残したまま、俺は団長の執務室を出た。


ここまで読んでくださりありがとうございます!


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