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第5話

 何で、そんなに昏く織田信長や豊臣秀吉の将来を考えるのだ、と私は叩かれそうですが。


 そう私が考える最大の理由が、結局のところ、信長は本能寺の変まで、それによって勢力を拡大し続けたのであり、又、秀吉にしても、「小田原征伐」によって、日本再統一を果たせたからです。


 このような巨大な成功体験をしていれば、今後も同じように成功を目指していくのが、人間心理として当然ではないでしょうか。


 いやいや、日本と外国では、その土地を征服して、其処から収益を上げるとなると、民族等が違うから色々と困難なのは、誰にでも分かることではないか。

 信長ならば、それがすぐに分かった筈だ、と私は言われたことがありますが。


 それならば何故、秀吉は「朝鮮出兵」を勝算がある、として断行するようなことをしたのでしょうか。

 それこそ秀吉は、信長の部下の中では、それなり以上に優秀な人材だった筈では。

 そういった人材が「朝鮮出兵」を行なったことから類推すれば、信長も同じようなことをしない、と何故に考えられるのでしょうか。


 そして、「朝鮮出兵」なり、それに近いことをやってしまうことから、成功例を考えるならば。

 それこそモンゴルを始めとする北方遊牧民族は、中国本土を制したことがある。

 だから、日本にもそれは可能で、信長ならば、自分は中国本土を制することが出来る、と考えるのでは、と私は考えてしまうのです。


 尚、ここで考えねばならないのが、北方遊牧民族の軍隊と、信長や秀吉等の軍隊の違いです。

 様々な差異がありますが、私としては機動力の違いが最大の問題だ、と考えます。


 北方遊牧民族の場合、替え馬等を活用して、騎兵を多大に活用することで、軍隊に速く長大な侵攻作戦を実行することが可能でした。

 しかし、日本の信長や秀吉の軍隊に、そういったことが可能でしょうか。

 私は、とても無理だ、と考えざるを得ません。


 流石に昨今では、一時、隆盛を極めた、

「日本に騎兵は、明治時代にまで全く存在しなかった」

「騎馬武者というのは、講談の世界でしか存在せず、源義家や源義経や足利尊氏も、いわんや戦国武将たちも、全てが歩いて戦っていたのだ」

という、私から見れば暴論は完全に廃れているように見えますが。


(尚、この最大の論拠とされていたのが、幕末以前の日本の日本馬はポニーだった、ということです。

 ですが、それを言い出したら、ジンギスカンを首領とするモンゴルを始めとする、いわゆる中国の北方遊牧民族が用い続けた蒙古馬もポニーに過ぎず、北方遊牧民族が馬を活用したのはアリエナイ話になるということです。

 

 更に追い打ちをかけるようなことを言えば、蒙古馬と日本馬のサイズは、ほぼ同等なのです。

 それなのに、日本馬はポニーだった、だから、戦国武将が馬を乗りこなしていたのは大嘘だ、と主張するのは、ジンギスカン以下のモンゴル等が馬を活用したのは大嘘、ということになってしまいます。


 そういった再反論から、日本の騎兵不存在説は廃れたようです)


 話が逸れすぎたので、本題に立ち返りますが。

 確かに織田・豊臣政権の日本兵ですが鉄砲を大量に装備していて、同時代では屈指の質量を誇る強力な軍隊だったのは、私も積極的に認めますが。


 だからといって、それによって、織田・豊臣政権が朝鮮や明までも征服できたのか、というと。

 モンゴル等と異なり、騎兵が存在したとはいえ、歩兵が主力である以上、機動力に欠ける軍隊で、それによって中国全土まで進軍して征服できたのか、というと私は悲観せざるを得ず。


 勿論、細部では違いが生じるでしょうが。

 史実の朝鮮出兵と似た結末が、織田・豊臣政権は最終的に避けられないのではないか、と私は考えざるを得ないのです。

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「戦国時代に騎兵は存在したか否か論争」の問題点は、「騎兵」の定義が曖昧というか、論者が自分に都合が良いように規定していることではないでしょうか。 「騎乗して戦闘する兵科」と定義するなら、確かに戦国日本…
16世紀末の状態から考えても、日本が明を完全に征服するのは無理であったと思われます。局地的な勝利は得られるかもしれませんが、奥地までの征服の困難さ、また異なる民族を支配することへの反発は必ず現れるで…
今回の考察と小説のほうも楽しく読んでいます。 モンゴル軍の機動力の話が書かれていましたが、最近に読んだモンゴル帝国の書籍では金朝との戦いでは騎兵の多い軍隊ですが、南宋との戦いでは歩兵主体の軍隊だった…
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