前世の息子達?
(ーーにしても、俺を拾ってくれた冒険者二人連れ。ダンとジンって名前なんだな…)
山本弾
山本仁
ジョニーが秀二だった頃の息子達の名前だ。
(もしかして、こいつらも息子達の生まれ変わりで実は俺を恨んでたりするんじゃないだろうな…)
とジョニーは警戒心マックスでダンとジンを観察した。
人間のオッサンが宿っているイミニマに観察されてるなどとは思いもせずに普段通りの自分を晒すダンとジンはいたって自然体だ。
「飯に行こうか」
「ジョニーって何食べるんだろうなぁ」
と二人に連れられて食堂へ行ってみると、二人は当然のように肉を食っていた。
ダンは塩胡椒をタップリかけて
ジンはマヨネーズをかけて
ガッツリ肉にかぶりついている…。
(…ああ…。弾と仁にそっくりな食べ方してやがる…)
ジョニーはガックリとうなだれた。
「あっ、ごめんごめん。ジョニーも何か食べたいよな?カボチャの種が酒のつまみであるから、それ出してもらおうな」
とジンが気を配ってくれるが…
(コイツが優しいのは俺の見た目が愛くるしいハムスターだからだ。中身が人間のオッサンだとバレた途端にコイツは豹変するんじゃないのか?…)
ジョニーは秀二だった頃に
「ウチの息子達、実は二重人格じゃないのか?」
と思った事があったのだ。
息子達は弱者に優しい子達だったが、弱者を騙る寄生虫には辛辣極まるという豹変ぶりだった。
ダンは弾と同じように塩胡椒が好き。
ジンは仁と同じように食べ物何にでもマヨネーズをかけるマヨラー。
食べ物の好みまで息子達と一緒なので
(怪しい…。怪し過ぎる…)
と不審さを感じる。
もしかしたら、この人生ーーならぬハムスター生ーー。
「地獄なのかも知れない…」
と、少し思う。
(俺を恨んでるヤツらばかり出てきて、俺を虐げ、殺そうとするとか、そういう趣向の地獄なんじゃないのか?)
既存の地獄とは拷問スタイルの異なる地獄が存在する、という事なのかも知れない…。
それにしてもーー
(俺って、善人だとはお世辞にも言えないまでも、そんなに悪人だったかな?…少なくとも、人殺しだけはしてない筈だぞ?…)
改めて山本秀二の人生を思い返してみても、やっぱり地獄に落ちなきゃならない程の悪行を犯した覚えはない。
(オカシイなぁ…)
と思う。
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食事を終えて
「ふぅ〜。腹一杯だ。ちょっと腹ごなしに散歩してから戦闘訓練でもしようか」
とダンが言い出して
「そうだね」
とジンが賛同した。
ジョニーは
「おいで」
と促されるままにジンのウエストポーチの中へ入った。
薬草入れのウエストポーチだ。薬草の匂いが染み付いている。
この世界の冒険者は雑用以外の依頼だと、先依頼を受けて依頼達成に行くような事はしない。
大抵は先ず人外境へ出る。
魔物に遭遇したなら魔石と討伐証明部位と錬金術素材を剥ぎ取って、後から依頼票を依頼表示板から剥がして受付に提出して品物を出す。
魔草や薬草もそうだ。
人外境へ出て魔草や薬草を見つけて採取したなら、後から依頼票を依頼表示板から剥がして受付に提出して品物を出す。
いつ魔草や薬草を見つけるか分からないので植物採取用のウエストポーチは常に腰から下げている。
ジンのそれは今やジョニーを連れ歩くキャリーケース代わりとなった。
「ジョニーは本当に可愛いよなぁ」
ジンが優しくジョニーを撫でるが
ジョニーは
(コイツが息子の仁の生まれ変わりなら二重人格の筈だ…((((;゜Д゜)))))))。いつか殺処分されるのかも知れない)
と恐怖を感じて震えたのであった…。




