アムロの逆襲
どんな経緯で自分が死にかけていたのかをジョニーは思い出してみる事にした。
そこでジョニーが先ず思ったのは
(なんで俺、恨まれてるんだ?)
という事だった。
ジョニーが山本秀二だった頃の事。
子供達がまだ学生で家に居た頃には、色々小動物をペットとして飼っていた。
ある時はウサギを飼い、ある時はハリネズミを飼い、またある時にはハムスターを飼っていた。
なかでもハリネズミはちっとも懐いてくれなくて手を焼いたモノだった。
ウサギやハムスターは嫁や息子達が世話をしていたが、ハリネズミの場合は、事あるごとに針を尖らせて興奮して唸り出すような気性の荒さだったため、もらってきた秀二自身が世話をしてやるしかなかった。
「アムロ」と名付けた。
嫁も息子達も攻撃的なアムロを全く相手にしてなかったので、実質、秀二個人のペットだったと言っても良い。
そのアムロ。
秀二としては頑張って世話をしたのだから、人間嫌いが治らず最期まで針を尖らせて唸って威嚇していたにしても…
「内心では多少は俺へ好意を持ってくれていた筈だ」
と思っていた。
だが違った…。
この世界の魔物は秀二を含めて地球世界から転生してきた魂も多い。
常に死の危険に晒されて生きているし、ふとしたはずみに前世の記憶を思い出したりするのだ。
この世界のジョニーの父親。
成体のイミテーション・ニードルマウスは前世の記憶持ちだった。
事あるごとに
「俺はネームドだ。俺には前世の記憶がある。俺の名前はアムロだ」
と自分に名前がある事を自慢していた。
「わぁぁ〜さすがパパ〜っ!」
と他の子供達は父を誇りに思って褒め称えていたのだがジョニーは何故かそういうノリに追従できなかった。
そんなイミニマ生活を送る中、ある日アムロが
「前世の飼い主の事も覚えてるが、アイツは正真正銘のクズだ」
と昔話をしだしたかと思うと
急にジョニーに向かって
「なんか、お前は前世の飼い主を思い出させる面だな。…気にくわねぇ。死ね!」
と言って攻撃してきたのだ。
ジョニーは、その時にはまだ前世の記憶を思い出してはいなかったが…
アムロが急にハムスターの姿からハリネズミの姿に変わって怒りを剥き出しにした事で、何か記憶のポケットが反応するのを感じはしたのだ。
「アレが前世の記憶を思い出すキッカケになったのかも知れないな…」
とジョニーは思い至った。
それにしても腑に落ちない。
アムロは山本家へ引き取られていなければ保健所で殺処分されていたハリネズミだ。
そのくらい気性が荒くて元の買い主が手を焼いていたヤツだった。
秀二だった頃のジョニーは
「性格の悪い嫌われ者にも生きるチャンスが与えられていい筈だ」
と、多少、自分自身を重ねてアムロを引き取った。
なのに、恨まれていた。
飼い主だった秀二が。
そして奇しくも、アムロは今世ではジョニーの父親なのに、子供であるジョニーを秀二に見立てて殺そうとしたのだ。
(野生の勘なのか、実際にアムロが殺そうとしたジョニーは憎き元飼い主の秀二なのだが)
「う〜ん…。なんか、だんだん腹が立ってきたぞ…。なんで俺が恨まれなきゃならないんだ!ふざけんな!あの糞ハリネズミめ!」
とジョニーはイミニマ語で叫んだ。
アムロの復讐に対してムカついたのだ。
だが人間の冒険者兄弟には当然ジョニーが
「チュッ!」
と可愛い声で鳴いたようにしか聞こえなかった…。




