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 【 落ちる 】




 カゲが姿を変えた先は、何人かの子供だった。その姿を見てキョーコは怯えたような顔をする。しかしそれだけでは無い感情が彼女の心を支配しているようにも見えた。


 「先生、俺らなんか悪いことした? 」


 「……それは」


 「自分も苦しめばそれでいいと思ったのかよ」


 「……! 」


 「なあ先生。仇でも取ったつもり? 」


 「そういう訳じゃない! 」


 「加藤を殺したのは、あんたもだろ? 」


 その発言に、キョーコは反論できない。そのことは、彼女が一番分かっていた。責任をいじめを行っていた生徒だけに擦り付けて、自分の責任から逃れられようとしていた。


 「あんたも、加害者だよ」


 そう言って子供の姿をしたそれは、ポケットから何かの植物を取り出した。


 「食えよ。あんたが俺たちにしたみたいに、あんたも苦しめ。俺たちの分も、もっと」


 そして他の少年たちはキョーコの体を取り押さえ、植物を持った少年は、それをキョーコの口へと放り込んだ。それを口にした瞬間に、キョーコは体をバタバタと震わせ始める。それは彼女の意志ではなく、体の反射で動いているように見えた。


 「かはっ! こひゅっ」


 キョーコは必死で息を吸い込もうとしているような様子を見せるが、彼女の体を取り押さえている少年たちがそれを許さない。


 すぐにキョーコは白目をむいたままその場に倒れた。マブチ達はそれが、彼女の死によるものだと気が付いたが、それを口に出すことをためらった。その事実を、受け入れたくなかったからかもしれない。



 「キョーコ様、どうか安らかに」


 カゲは、自分でキョーコを死に追いやっておいて、そのような事を言った。しかし、カゲのその言葉に反応する気力すら、マブチ達には残されていなかった。


 カゲは壁の近くへと移動すると、レバーのようなものを下におろした。





 ガタンッ!




 何かが開くような音が聞こえたかと思うと、キョーコの死体は、既に目の前から無くなってしまっていた。何故か、川の流れる音のような、水音が微かに聞こえた気がした。


 「さあ皆様、『秘密』の保持の期限は迫っております。ご自身の『秘密』をお忘れなきよう」


 カゲがそう言って指をパチンと鳴らした。部屋を照らしていた裸電球が一斉に消灯され、3人の視界は奪われてしまう。






 ◇






 そして再び視界に光が戻ってきたとき、3人は館の1階のホール、つまり最初に目が覚めた場所まで戻ってきていた。


 目の前で起きた惨劇、狂気。その全てを脳裏に焼き付けたまま、彼らは呆然とするしかなかった。


 彼らは示し合わせたかのように、『秘密』を取り戻そうとすることをやめた。本当の自分を思い出すのが怖いから、というのは1つの理由に過ぎない。それよりも彼らの心を支配していたのは、キョーコと同じ未来を辿りたくないという逃避に近い感情だった。


 そして、彼らは『秘密』を自分から遠ざけた。気が付けば、3日の猶予などとっくに過ぎていたが、誰もその事について言及する者は居なかった。






 ◇ ◇ ◇






 【 SECRETEND.2 ― キョーコの真実 ― 】 を入手しました。






 どうやら、このルートはここで終わりのようです。しかし、彼らの『秘密』はまだ完全には解き明かされておりません。是非、他の選択肢をお確かめください。






 選択をやり直したい場合

→ 目次から「9」へお進みください。






 

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