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第26話

いつも読んでくださってありがとうございます。

1時間遅刻ですね……

 例えば、対魔王魔法『インデペンデンス・デイ』。ぶっちゃけレールガン。

 その元となった武器は『ヒトツザキ改ダブル』。『封雷鞭剣 ふうらいべんけんヒトツザキ』という、そもそもは鞭と剣を合成してできた柔らかくてしなる剣に、亜精霊である雷霊を合成して作った拘束用の武器を作り直して、沢山の金属片をワイヤーのようなもので繋いだ剣にやっぱり雷霊を合成して作った双子の武器の性質を両腕に顕現するのが、あの魔法の正体だ。

 ヒトツザキは最初の頃自分で使うことを考えていたから2キロ弱しかないけれど、改2はそもそも魔法発動のために作ったせいで長さ10メートル、重さ20キロある、重くてでかい方が魔法の威力が上がるからな……まぁ、もちろんふりまわそうと思えば余裕でふりまわせるけど。

 それがつまりどういうものかといえば、常に帯電している長さ20メートルの金属塊だ。

 そんなものを今のこの世の中に放り出せるだろうか? 魔法がない世界に? それ一つならともかく、そんなものが少なくとも600キロ分。うん千度の熱量を常に放ち続ける長さ2メートルの薙刀とか、周辺の水分を一時的に200万倍の大きさにする魔法の石とか、ノリで作ったビームサーベルとか。そんなのばかりが600キロ分。世の中に放り出したらどんな混乱が訪れるのか……想像もつかない。いや、魔法の石に関して言えば、向こうにだって放り出すわけにはいかないから体の中にしまいこんでいたんだ。


 ……今思えば、契約解除した時にあれがどっかに放り出されるかもしれないのに、そのことを全く考えてなかった。割と無責任なことをしたな……いやでも処分のしようがなかったんだししょうがないよな?


 まあ、スキルがなくなった以上とりあえずは取り出せないものとして……例えば、俺が死んだらあれらはどうなるんだろう? 俺という器がなくなったら、例えばその……火葬されて骨だけになったら、その骨が350キロの遺骨になるのか? あるいは灰が? 腕を切り落とされたりした時に、道具 アイテムの取り出しに制限がかかったりしなかったことを考えれば、体の部分部分にしまってあるわけでもないだろう……と思う。少なくとも切り落とされた腕にしまうことはできなかった。そんな機会あまりなかったからはっきりとはしないけど、多分。

 だとするとスキルが道具を収納していたというのは、何を中心に存在していたのだろう? 俺という個人をどう定めていたんだろう?

 例えば……例えば、魂のようなものを中心に定めていたのだとしたら。

 俺が死んだときどうなる。

 いま気付いてしまった自分の無責任さ。

 それが杞憂じゃなかったとしたら。俺が死んでしまったら。

 例えば俺の死体を焼く火葬場の真ん中で。あるいは事故でもなんでも俺が死んでしまった瞬間に。それが世に放り出されるとしたら。

 600キロの鉄の塊が突然俺の体から溢れ出すだけでも悪夢なのに、それがそれぞれ帯電していたり、うん千度の熱を発していたり、周囲の水をどんどん大きくして洪水を起こしたりしたら。そうしたらどうなる。いや、そんな事故一つで済むならあるいはまだ平和かもしれない。自分が乏しい想像力で適当に作ったそれらにどんな価値があるのか、想像力のある人にどう見えるのかはそれこそ想像 ・・がつかない。


 昨日までは、自分の未来に漠然とした不安があった。未来をどう生きるかで悩んでいた。

 今日の昼の間に母さんにいろいろ言われて、自分が迂闊に行動してはいけないのだということを思い知らされた。迂闊に生きていくことができない。迂闊に行動すれば、他人を殺しかねない人間だということを思い知らされた。

 だから自分自身に向き合おうと思って、少しだけ深く物事を真面目に考えてみて、その結果がこれだ。

 迂闊に生きてはいけない……だけじゃない。迂闊に死ぬことすらできない。

 あんまりパソコンをいじる方じゃないけど、有名なスラングは聞いたことがある。


『おお ゆうしゃよ! しんでしまうとは なにごとだ!』

 

 俺は迂闊に死ぬことすらできない!

 なんでだ。どうしてこうなった。

 この世界に帰ってきたら、俺は勇者じゃない、普通の人間に戻れるんじゃなかったのか。

 俺は、ちゃんと頑張っただろう。勇者の役目は魔王を倒しさえすればいいと言われたけど、できる限り世界を立て直すための努力はしたはずだ。そりゃ、魔王を殺すと同時に帰ってきはしたけれど、そうするのが魔王を倒すために一番いい手段だと思ったからだ。今更早く帰りたいと思ったわけでもなければ、その後のことが面倒くさくなったわけでもない。


 母さんに言われて、自分のことに真面目に向き合った。そうすれば何かが解決するかと思ったけど、全然そんなことない。

 ただ混乱してる。わけがわからない。そうとしか言いようがない。

 俺はどうすればいい。

 この世界で、また勇者にでもなるのか? 腕力一つで?

 それとも、普通になる方法を探せばいいのか?


 この力、その責任、それは一体……どこにある?


「あっちゃん? 朝ごはん早く食べないと遅刻するわよ」

「あ……ああ、うん」


 そんなことを考えてたらすっかり徹夜してた。

 そう、徹夜といえば……あのスキルには他の二つみたいな副作用はあるんだろうか。この世界に帰ってくることで発生する、そんな副作用は。

封雷……といいますが、実際は雷(電気)の力で敵を封じ込める剣、という意味でした。

しかも磁力で鞭剣が巻きつく予定が、実際はただのスタンガンまがいになっていたという、一種の黒歴史だったりします。

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