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第25話

いつも読んでくださってありがとうございます。

累計ユニークが多分4000を突破しました。多分。

読んでくださる人がいることがとても嬉しいです。

「うわぁ……大量だな。ラッキーなはずなんだけど素直に喜べねー」


 今俺の目の前には二つのものがある。顔を上げて思いつくままに取ってきた爪切りと、秤だ。爪切りには、ここ一週間の間に切っただろう母さんか父さんの爪が入ってる……はず。多分父さん。俺も母さんも切ったら捨てるからね。

 さて。

 案の定おでこが真っ平らになっててほっとした俺が、自分の体が重たいってことに向き合うってことはどういうことだろうか。とりあえず大前提は一個。これが魔法なのか、現実なのかだ。

 いや、現実なのかって現実なんだけど、なんていうか、物理的に俺の体にそれだけの肉が詰まってるんかどうかってことだな。それこそ肉がダイアモンド並みにぎっしり詰まってるなんてことが、現実的にありえるだろうか。というか、骨より肉の方が中身がみっちり詰まっていたら、骨の方が折れると思う。では骨も肉も同じくらいみっちり詰まっていたら? 髪は? 爪は? 血液は? 肉だって、皮膚と筋肉と脂肪と、内臓の皮……皮? 膜? 内壁? 内壁かな。とにかくそれって筋肉か?

 俺の体の全部がそれぞれ本来の3.5倍の比重になっているのか? あまりに現実的じゃないけれど、もしそうだとしたら、当然『爪』の比重も3.5倍なわけだ。ものを摘んだ拍子に弾け飛んだりしないからな。そういう考え方で間違ってない……はずだ。

 つまりつまり。この爪切りの中身とこれから切る俺の爪を図り比べれば俺の爪が、ひいては俺の体の比重が重いのかどうかわかるはず。というわけだ。


「んっ」


 爪はサクッと切れた。ちょっと深爪気味になったけど、それはこの際諦めよう……ヒリヒリして痛い。向こうにいた時は爪なんて伸びなかったしなぁ。髪も。

 ううう。もういいからとっとと計ってしまおう。ええと、こっちの爪とこっちの爪を同じくらいの大きさに切って……


 ……。


 ……。


 って、こんな小さな爪が家庭用の秤で測れるかっ! 何やってんだ俺は馬鹿か俺は。馬鹿か! 大真面目な顔で、何が『重いのかどうかわかるはず。というわけだ。(キリッ』だ。馬鹿か。馬鹿か! 馬鹿なんだな! お前にはがっかりだよ俺!! いや俺!!!

 ……ちょっと冷静になろうか。次の手段があるはずだ。

 ヴェニスの商人じゃあるまいし、肉を切り取って計るわけにもいかない。骨を切り取ることもできない。髪も爪と同じで計れないだろう。とすると……それこそヴェニスの商人にならって『血』か。血液の比重は1よりちょっと重いくらい。こうなったら、血液を……血液を何CCか計って重さを調べる。それくらいしかすぐには思い浮かばない。

 いや、だめだろ。血圧がめっちゃ強くなってるだけで、別に血液は重くなってないかもしれない。体が重くなるってどういうことなんだ……実際に重くなってるかどうかを確かめる方法がさっぱり思いつかないぞ?

 ……とりあえず刃物が皮膚を切れるかどうかだけでも確かめるとか。

 なんか不毛っぽいし痛そうでやだな。却下。

 あれだな。なんでもかんでも納得がいく答えを得るなんて無理だ。やめよう、どっちみちこんな現実的じゃないことが現実かどうか……魔法が絡んでいないかどうか考えるのが不毛だったんだ。

 この世界には魔法は無いはずって前提は忘れて、これには魔法が絡んでると考えよう。


 そもそも心当たりはある。


 サーシスによって得たスキル《Arm (剣か) or (鎧か) Amalgam (混合か)》。

 異世界の喋る剣がなんで『Arm=兵器』、『Armor=鎧』を前提にして『Arm or=剣か鎧か』なんてダジャレみたいなことを言うのかは考えてはいけない。得意げに『そうだな、スキル名はお前の国の言葉で言うと……アームオアアマルガム、剣か鎧か混合かってところか……』とか言ってたけどそもそもそれは俺の国の言葉じゃないしな。だいたい『Arm』を兵器と翻訳するのはもっぱら複数形の時だけだ!

 ……閑話休題。

 ともかくその効果は言わば四次元ポケット。俺の体にありとあらゆる存在 ものを収納し自由に出し入れできる。それどころか体内で好きに合成し成形することも、その特性をコピーして表に出すこともできる。俺の使う魔法というのは、向こうの世界に存在した精霊や物質、道具を合成して、魔力でそのコピーを表に出す……ええと、顕現させることだった。手刀に刃物の特性をコピーして本当に切れる手刀とかな。

 もちろん、実際に成形して作った武器とかもけっこうある。あるけどあまり使わなかった。理由は……いくつかあるけど、その一つはこのスキルのもう一つの特性だ。そしてそれこそこの体重の原因でもある、と思う。

 収納すればするほど俺は重くなり、その重量に耐えるために筋力 パワーっぽいものが上がる。

 だいたい収納したものの半分くらいの重さだろうか。その分体重っぽいものが増える。実際に肉体が重くなるのか、俺の体にだけ余分な重力がかかるようになるのかはわからない。見ようによってはこれ以上ない美点だろうけど、実際はなかなか扱いが難しい特性だ。急激に重量及び筋力 パワーをあげると、体がそれについていかなくてうっかりいろんなものをぶち壊してしまうし、下げると今度は掴み損ねたりしてものを落としてしまう。特に走るのに難儀した。

 そういうスキルだった(過去形)。

 当然、こっちに帰って来た時契約は切れた訳で。俺の体が大きくなったことがその証拠だ。

 じゃあ、あのスキルはどうなったんだ?

 俺はてっきり、契約が切れてスキルが無くなった時点で収納したアイテムやらなんやらは勝手にどっかに行くもんだと思ってた。もう体の中から消えたものだと。だけど今現在、あのスキルが存在しているとしか思えない重量が発生している。


「つまり、まだあるってことだよな。俺の魔法の元になった、武器や道具が……」


 これが取り出せるのなら……ちょっと、想像したく無い。

スキル名で察して頂けると思いますが、私は中二病を持て余しております。

たしか初期プロットでは『クロスアームオブメリクリウス』だったかな……まあ、あまり変わってないってことですが。

かっこよさの作り方を誰か教えてください。

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