第13話
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お昼ご飯はオムライスとカルボナーラスパゲッティ、ちょっと足りないなーと思っていたら追加で丸餅を九つ焼いてくれた。本当に思っただけで口にも表情にも出してないはずなのに、なんでわかったんだろう……ところでなに『餅』だったんだろう? 麦じゃないし、トウモロコシとかじゃないし。スパゲッティは麦の餅だよね。まぁ調べればわかるからそんなに深く考えることも無いか。うーん……ちょっと足りない。まぁ八分目ってこんなもんだろう。
「あと昨日の晩ご飯のカレーあるけど、ご飯たけるまで待ってね」
「うん」
たける……えーっと、ごはん? ごはん……たける……ごはん……たける……ごはん……たける……ああああああ! 米か! 米のことだ! 最初の頃向こうではあんなに恋しく思ってたのに、途中からスパッと忘れてた! 米だ、米だよ。さっきのオムライスにだって入ってたじゃないか、それなのに『この赤いドロッとしたのの味、うまー』とか思ってバクバク食べて……そうそうそうだよ、日本では餅って米の奴しか言わないんだ! スパゲッティはむしろ『麺』……っていうか『パスタ』だ、そんで小麦粉を練って焼いたら『パン』だよ! ……なんでご飯って焼いても 炒っても 炊いても ゆでても でも米なのに、小麦粉を練ったものは焼くと『パン』で茹でると『麺』なんだろう? いやでも粉にしたやつは餅か。というか麦は麦だし。
……こんなんだから向こうでこっちの料理の再現とか出来なかったのかもしれない。いや、考えるのはやめよう。俺の役目は戦うことであって、料理を教えることじゃなかったんだ。
ふと時計を見たら、時間は午後一時を回ったところだった。
「さてあっちゃん、洗い物も一段落したしご飯が炊けるまでお話ししましょうか」
「……母さん、そこまで子供扱いしないでくれよ」
「まじめなお話しよ?」
まじめな話しって言われても……台所の方から漂ってくる匂いがすごく気になるんだけど。
「ご飯炊けるのにもう少しかかるから待ちなさいってば。いい、あっちゃん? 貴方学校どうするの?」
「どうするって?」
「学校行けるの?」
学校行けるの……とはどういうことなのか。とりあえず制服は無いけど、それは買えばすむことだと思う。今日買えなかったとしても、明日学校に行って直接購買で買えば良い。入るときにもめるかもしれないけど、それはこう、保護者同伴とかでなんとか。
……なんか足持て余すな。椅子の座り心地が悪いっていうか……気持ち悪い。
「聞いてる?」
「あ、うん。学校だっけ」
「そうよ。こう言ってはなんだけど、今学校に行くと、あっちゃん浮いちゃうと思うのよね」
う、うん。心の中で頷く。
凄く、正論なんだけど……母さんに言われるとは思わなかった。まだ母さんにしか会ってないからなんだけど、その母さんが一番気にしてない風なんだけどな。
「残りの中学校生活も三ヶ月くらい、再来週から冬休みだし、お父さんは反対みたいだけど、もしあっちゃんがよければちょっとくらい引きこもってもいいのよ」
「ちょっとって……」
「まあ、試験は受けないと駄目だけど……卒業まで?」
可愛く首を傾げてるけど、それちょっとじゃない。というか父さん反対なんだ? 別に厳格な人とかじゃないし、母さん至上主義みたいなところあるし、学校行かなきゃ駄目とかは言わなそうな気がするけど。
でも卒業までか……普通なら中学最後の三ヶ月って貴重な気がするんだけど、中学生らしい思い出とか記憶の彼方なんだよな。今から作るって期間でも無いし。
俺、好きなこ女の子とかいたのかな。あとで部屋に日記とか無いか探そう。絶対無いだろうけど。
「……三ヶ月?」
ふと気になって、さっき見た時計のことを思い出してみる……曜日は覚えてるけど日付がわからないな。じゃああれだ。ええと、暦表……カレンダー、食卓の端っこにみんなで見れるように……
「12月……」
12月か。どうしよう、受験まであとちょっとしか無い。うわぁ、なんかなんだ? 夏休み終わってすぐのような気がしてたけど、完全に冬じゃないか……ああ、制服普通に冬服だったしな……あの日単語カードとか年表カード見ながら歩いてたのも、期末と模試が重なってたからか。向こうだとこっちの倍のペースで季節が巡るから、その辺さっぱりわからなくなっちゃうんだよな……12月……12月か……受験大丈夫かな……全うな青春を送る為には、高校受験は絶対避けて通れないのに。へんな不良ばっかりの学校に入るのも青春と言えば青春かもだけど、なんかこう……指先一つでKOさーって感じの世紀末な殺伐とした青春になりそうなイメージが強すぎる。今のこの身体だと特に。
いや、っていうか、12月か……そうか……
「なあにあっちゃん、別の世界での冒険から帰ってきたみたいな顔して」
「な、なにそれ!? どういう意味!?」
あ、新手の、新手の魔法攻撃!? テレパシー!? 読心術!? なんなの、お母さん実は全部知ってたりするの? 有名だもんね! しょうちゃぁああああああああああん! って叫びながら飛び起きたりメルヘン作家の息子の幼なじみがお姫様だったり! 水曜日発売の日曜雑誌の定番だもんね! 更新するの月曜日だけど!
……あれ、いまなんか変な電波受信したぞ。母さんじゃなくて俺が。
「え、いや、日付に驚いてるみたいだから……ほら昔映画で見たじゃない。ミステリーで有名な作家さんが原作の、これは僕の勇気の物語……だったかしら? 願いを叶えてくれる『玉』を集めるお話……そう、離婚した両親を仲直りさせる為に男の子が別の世界を冒険しするの。浦島太郎と違ってあっちゃんはちゃんと今にいるからね」
「あ、あー。玉っていうか『玉』ね、『宝玉』。うん、見たかも」
あれには日付を見て驚くシーンは無かったと思うけど、浦島太郎を思い出してからそっちを連想したってことかな。別に俺は願いを叶える為に行ったんじゃなくて助けを求められて行ったわけだから、むしろ浦島太郎の方が近い気がする。
「昨日あっちゃんの部屋で制服探してるときに変なもの見ちゃってね……ちょっとおもいだしたのよ。だから言っただけなんだけど……あ、でもあっちゃんはむしろ一寸法師さんかしらね」
「えー……何でもかんでも昔話で言えば言いってもんじゃ無いと思うよ。俺、一寸法師でも浦島太郎で、も、な……い……か……」
……変なもの? 俺の部屋で、冒険ファンタジーを連想する?
「あの、お母さん?」
「ああいうのコスプレって言うんだっけ? かっこいいわよね」
標準的な中学生の穀物や料理に対する知識はいかばかりや? この主人公はむしろ残念よりのつもりですが。
ところで、書いてて思ったんですけど、願いを叶えるために『タマ』を集めるっていうとド/ラ/ゴ/ン/ボ/ー/ルみたいですよね……この場合話題にしているのは、『球』ではなく『玉』のブ/レ/イ/ブ/・/ス/ト/ー/リ/ーなのですが。
割とスタンダードな願いの叶え方なんでしょうか。
今回話題にさせていただいた版権作品↓
北/斗/の/拳 漂/流/教/室 M/A/R




