↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
荷物持ちのお荷物だったおっさん、その荷物はチートでした。  作者: 忍絵 奉公


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
23/24

第25話 大盗賊団ハッスルジェット


翌朝。

クレスタは城の正門に立っていた。

温室ではニックが果物をつついている。

「行くぞ」

「ピー!」

ニックが飛んでくる。

クレスタは収納バッグを開いた。

「王都は何があるかわからんからな」

「ピー」

「いざという時は頼むぞ」

ニックは頷いたように鳴く。

そして収納された。

クレスタは門を閉める。

広大な城。

庭園。

池。

温室。

全部置いていくのは少し不安だった。

だが王都に行かなければならない。

横領帳簿は収納済み。

誰にも見つからない。

準備万端だった。

街へ行く。

王都行きの大型乗合馬車に乗り込んだ。

乗客は全部で七人。

商人。

老人夫婦。

若い冒険者。

旅の神官。

そしてクレスタ。

御者を含めても少人数だった。

馬車は順調に進む。

街道も整備されている。

平和そのものだった。

昼過ぎ。

異変が起きた。

前方の森から。

木が倒れる。

ドォォォン!

馬が暴れる。

御者が悲鳴を上げた。

「て、敵だ!!」

森から続々と人影が現れる。

一人。

二人。

十人。

二十人。

三十人。

全員武装している。

剣。

斧。

弓。

槍。

見るからに盗賊だった。

先頭に立つ大男が笑う。

赤いモヒカン。

筋肉だらけ。

巨大な戦斧。

「ヒャッハー!!」

馬車の客が震える。

男が胸を叩く。

「俺様はハッスルジェット!!」

周囲の盗賊たちも叫ぶ。

「ハッスル!!」

「ジェット!!」

「ハッスル!!」

「ジェット!!」

よく分からない掛け声だった。

クレスタは隣の商人に聞く。

「有名なのか?」

商人の顔が真っ青だった。

「し、知らないのか!?」

「知らない」

「大盗賊団ハッスルジェットだぞ!」

「へぇ」

「へぇじゃない!」

商人は泣きそうだった。

王都街道最悪の盗賊団。

構成員三十名以上。

何度も討伐隊を返り討ちにしている。

賞金首の集団だった。

ハッスルジェットが笑う。

「全員武器を捨てろ!」

盗賊たちが武器を向ける。

「金を出せ!」

「荷物を出せ!」

「女は置いてけ!」

「逆らったら殺す!」

乗客たちが震える。

絶望的だった。

七人。

対。

三十人。

普通なら終わりである。

しかし。

クレスタだけは違った。

「あのさ」

盗賊たちが見る。

クレスタが立ち上がった。

「なんだ?」

ハッスルジェットが睨む。

クレスタは真面目に聞いた。

「今から殴っていいか?」

沈黙。

盗賊たちが固まる。

ハッスルジェットも固まる。

「は?」

「いや」

クレスタは首をかく。

「急いでるんだ」

再び沈黙。

次の瞬間。

盗賊たちが大爆笑した。

「ヒャハハハ!」

「一人で何する気だ!」

「馬鹿かこいつ!」

「ハッスルだ!」

ハッスルジェットも笑う。

涙が出るほど笑う。

「気に入った!」

巨大な斧を構える。

「俺様が相手してやる!」

クレスタはため息を吐いた。

「そうか」

ゆっくり馬車を降りる。

肩を回す。

荷物はない。

収納している。

つまり。

全力で動ける。

マチョモ山。

巨大熊。

魔猿。

ケルネイヤ。

キングメタジョーゴ蜘蛛。

一か月以上。

死線を潜り続けた男。

その男が。

三十人の盗賊を見る。

そして思った。

(熊より弱そうだな)

ハッスルジェットはまだ知らない。

目の前の男が。

盗賊に見えるほど熊の毛皮を着て森を歩き。

巨大熊と力比べして勝ち。

蜘蛛の怪物を収納した男であることを。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。