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荷物持ちのお荷物だったおっさん、その荷物はチートでした。  作者: 忍絵 奉公


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第17話 消えた荷物持ち


クレスタは暗い通路を歩いていた。

収納バッグがない。

ニックもいない。

銀狼の牙ともはぐれている。

状況は最悪だった。

だが。

遠くに光が見えた。

松明の光だ。

「おっ」

クレスタの表情が明るくなる。

人がいる。

しかも声も聞こえる。

「そっちじゃない!」

「いや、こっちだ!」

「また同じ場所じゃないでしょうね!?」

聞き覚えのある声だった。

クレスタは歩く速度を上げる。

そして通路を抜けた。

「あっ」

「クレスタ!?」

銀狼の牙も気づいた。

全員が固まる。

レミアが青ざめる。

ミリアも目を見開く。

バッシュは思わず後退した。

「なんで生きてる!?」

思わず本音が漏れた。

クレスタは首を傾げる。

「ん?」

一方。

ガルドだけは冷静だった。

手にはロンギヌスがある。

五天神器。

全てを貫く神槍。

どんな相手でも殺せる。

そう思っていた。

「問題ない」

ガルドが小声で言う。

「一突きだ」

その声に全員が落ち着きを取り戻す。

確かにそうだ。

神器がある。

今なら負けない。

その頃。

収納バッグの中。

ニックは暴れていた。

主の危機。

裏切り。

全てを理解している。

その時だった。

バッグの奥。

見たことのない光があった。

黄金色の光。

ふわふわ浮いている。

ニックは近づく。

そして理解した。

直感だった。

主の役に立つ。

そう確信した。

ガブッ。

咥える。

すると光が形を持った。

薄い布。

透明な布。

まるで存在していないようなマントだった。

その瞬間。

大量の知識が流れ込む。

ニックは理解した。

神器。

五天神器。

インジビブルマント。

姿を消す神の外套。

そして。

なぜか所有者が自分になったことも。

ニックは迷わない。

主を助ける。

それだけだった。

一方。

クレスタは困惑していた。

「何があったんだ?」

するとガルドが笑う。

異様な笑みだった。

「みろクレスタ!」

黒い槍を掲げる。

「神器を拾ったぞ!」

「神器?」

「全てを貫くロンギヌスの槍だ!」

ガルドの顔が歪む。

欲望。

優越感。

殺意。

全てが混ざっていた。

そして。

「悪く思うな」

槍を構える。

「これでお前も終わりだ!」

クレスタの背筋が凍る。

今まで聞いたことのない声だった。

明確な敵意。

そして。

突き出されるロンギヌス。

ブンッ!

しかし当たらない。

暗闇のせいだった。

距離感が狂っている。

穂先はクレスタの目の前を通り過ぎた。

だが。

殺そうとしている。

それだけは分かった。

「お前ら!」

クレスタの顔色が変わる。

全てを理解した。

麻痺。

倒れた理由。

バッグがない理由。

全部。

「ニック!!」

思わず叫ぶ。

その瞬間だった。

ガルドの持つ収納バッグが揺れた。

「なっ?」

全員が見る。

次の瞬間。

ポンッ!

ニックが飛び出した。

「ピーーーッ!」

怒っている。

猛烈に。

そして。

口には何かを咥えていた。

透明なマント。

いや。

よく見えない。

見ようとすると輪郭が消える。

不思議な布だった。

ニックは、収納鞄をひったくり、一直線に飛ぶ。

ガルドたちもクレスタも無視。

ひたすらクレスタへ。

「ニック!」

嬉しくなるクレスタ。

だが。

ニックは止まらない。

そのまま。

バサッ。

自分にマントを被る。

そして。

クレスタにも被せた。

「え?」

次の瞬間。

クレスタが消えた。

完全に。

そこにいたはずなのに。

いない。

「なっ!?」

「消えた!?」

「どこだ!?」

銀狼の牙が混乱する。

松明を振り回す。

周囲を見る。

何も見えない。

クレスタ本人も混乱していた。

「え?」

自分の手を見る。

見えない。

足も見えない。

身体も見えない。

「なんだこれ!?」

ニックは理解していた。

インジビブルマント。

五天神器の一つ。

そして今の所有者は自分。

使い方も理解している。

「ピー!」

クレスタの服を咥える。

引っ張る。

「ん?」

さらに引っ張る。

「ピー!」

逃げろ。

そう言っている。

クレスタにも分かった。

今は戦う時じゃない。

逃げる時だ。

ガルドには神器がある。

こちらは丸腰。

なら。

まずは生き延びる。

「わかった」

小さく頷く。

ニックが先導する。

暗闇の通路へ。

誰にも見えないまま。

二人は走り出した。

「探せ!」

ガルドが怒鳴る。

「近くにいるはずだ!」

しかし見つからない。

見えるはずがない。

五天神器。

インジビブルマント。

その力は完全だった。

そして。

銀狼の牙は知らなかった。

今。

神器を一つ持つ自分たちが、二度と帰れない事を



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