その6 彼の生きる、愛しき世界は!
★四季色喝采サニービーツ!
第一話『正義の味方サニービーツ!』
その6 彼の生きる、愛しき世界は!
teller:天守 幸雄
◆
サニービーツの本拠地である純日本風の屋敷の、広間。
そこで俺は畳の上に正座させられていた。
おかしい。先日もこれと同じ状況に陥っていた気がする。
こたつに入りながらのびのびとだらけていた大和 ひとみが、菓子をつまみながら呆れたように笑った。
「も~、ユキさんさあ~。緊急事態とは言え、基地に連絡ゼロで独断で単独戦闘しちゃうのは良くないと思うな~?」
「う、すみません……」
大和に便乗するように、同じくこたつに入っていた女装青年・栂咲 ひつぎがケラケラと笑う。
「そーそー。ユキさんてば大雑把の極みなんだからさ~? 相手が策士系だったらやばかったもじゃん?」
「う……それは、まあ……そうだな……」
今回はセピア=フェルマータの幹部クラスが出てきたとは言え、相手が感情的になりやすそうな絶佳だったから一人でもなんとか戦えたのかもしれないし……確かにもっとサニービーツがチームである利点を活かさなければ。
あと普段から大和に散々言われているが、通信用のインカムを普段から意識せねば……。
絶佳に苦しめられている子どもたちを見た時と言い、誰かの窮地を見たら俺はすぐ突っ走っちまうからな……。
大和やひつぎにダメ出しを食らい、自分でも反省して項垂れていたら、我らがルーキー・道流 高留がキラキラした目で俺を見つめてきた。
「でも幸雄さん、子どもたちをたった一人でも守り抜いたんですよね! 凄いです! かっこいいです! 僕もヒーローとして見習いたいです!」
「高留……っ! お前、本当にいい奴――」
「はーい、たかるん。甘やかさないの」
「むぐっ」
高留だけは唯一褒めてくれたが、大和がずるりとこたつから身を起こし高留の口に羊羹を突っ込んだから、貴重な褒めのターンは一瞬で終了した。
俺はいそいそと正座し直す。
どうやらまだ反省の時間は終わっていないらしい。
サニービーツの戦闘メンバー最後の一人・忍者娘の椋鳥は、黙々とお茶を淹れている。
俺への説教や物申したいことは無いみたいだが、どうも椋鳥とはいつも距離を感じるな……。
そんな風にぼんやり考えていた時、ぬっと影が差した。
「……で、いつもみてえに幸雄を罰しとけばいいんだろ」
「ば、罰する……? お、おい待てラブ、落ち着け……!!」
影の正体、岩苔 ラブカ。通称ラブ。
俺に近寄り見下ろしてきたラブの手には、明らかにピンクの表紙の、明らかにアウトな雰囲気が漂うR18小説。
そして、ラブはその明らかなエロ小説のページを開き。
「『だって……主人ったら優しすぎるから……貴方の方が……』」
「ぐはあっっ!?!?」
「『……私、もうだめなの……主人とじゃ、満足できない……』」
「がはあぁぁぁぁぁぁっ!!!!」
ラブが読み上げた本のあまりの内容に、俺は苦痛にのたうち回る。
瀕死の俺をにやにや傍観していたひつぎが、とんでもない追撃をかます。
「って言うか、ユキさんが留守中の今まさにNTRイベント発生してたりして」
「げほぁがぁっ!?!?」
「ユキさん、そんなに心配なら今日は帰る時タクシー使いな~?」
そう言ってこちらに目もくれず、大和は袋菓子を大皿の上に開けていく。
相変わらず話の内容がわからないのか、一人きょとんとしている高留。
湯呑みをトレーの上に並べ、特に会話に入ろうとしない椋鳥。
一方俺は、フィクションのNTR話がショックで意識が遠のきつつあり。
――フィクションみたいな奴らが起こすフィクションみたいな出来事が平気でのさばる、そんな冗談みたいな街で。
俺は今日もまだまだ、未完成なヒーローとして生きていた。
生きて、いたんだ。
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