力と速さ
夕食は麻婆豆腐なので初投稿です。
「これ大丈夫ですか?」
男は凛城に対して言うと、不安そうな顔をする。
それに対して凛城は
「まぁ大丈夫でしょう」
と言い、楽観的であった。
男の心配事は誰もちゃんとしたルールを知らないということである。
先程一度試合を止めてもらい、全員にルールをどれほど知っているか聞いたが、皆知っていることは同じで細かいことまで知っている者はいなかった。
「いや、でもこういうのってちゃんとルール覚えてからやった方が・・・」
男は事前に準備をしっかりとするタイプであった。
「ですが皆さんもうやる気満々ですし、指揮官だって昔やってた三角ベースのルールなんて知らなかったでしょう?」
「まぁそうですけど」
男は昔やった三角ベースの詳しいルールなど知らず、最近になってそのルールを知った。
「でしたら大丈夫ですよ、やる気があればなんでもできます」
そう凛城は自信満々に言う。
「そんなことでいいんですか・・・」
そう話している間に全員が位置につき開始の合図が鳴る。
「先攻は陸チーム、後攻は空チーム。ピッチャーは扇さん、キャッチャーは両神さん。バッターは空チームからフライアさんです」
バッター席に立ったのは青髪短髪の活発そうな女性だった。
彼女はバットを握りしめると真剣な目つきで扇を見る。
それに対して扇はボールを握り構えるとそれをキャッチャーに向かって投げる。
直後
バアァァァァァァン!
と言う音が演習場内に響き渡る。
両神のキャッチャーミットには扇が投げたボールが深くしっかりとキャッチされていた。
「ターイム!タイムタイムタイムターーーイム!」
それを見た男は首を横に振り腕を振りながら大声で慌てて止める。
「どうしたのだ指揮官?まだ何かあるのか?」
扇は不思議そうな顔を男に向ける。
「どうしたじゃないですよ!なにそれ!?いや、ナニソレェ!明らかに出ちゃいけない速度出てるんですけど!それあたったら打撲・・・いや風穴、それどころか全身吹き飛ぶんですけど!セーブしてくださいセーブ!」
扇が投げた球は到底目で追い切れるものでなくそれをキャッチした両神は明らかに反動で後ろに移動していた。
「まぁ、パワー型ですから仕方ないですね」
「パワー型ですからねぇ」
ミリアスと凛城がそう言うと周りも首を縦に小さく振り肯定する。彼女らにとってこれらは普通のことであった。
「いやいやいや!いやいやいやいやいや!それで済むこと?これ絶対に怪我人出ますって!怪我人で済むか怪しいですよ!危険ですよ!」
男は青い顔をしながら尚も言い続ける。
「そう言われてもな・・」
扇は困った顔をする。
「どうしましたか?扇さん、早くやりましょうよ!」
そうしているとバッターボックスにいるフライアから声がかかる。
あの球を間近で見ていたのにも関わらず彼女は平然と手を振っていた。
それを見た男は目を見開き驚く。
「えっ、そんなにこれ普通のことなの?おかしいのは私?」
「もういいか指揮官?そろそろ始めたいんだが」
「あ、あい、ど、どうぞ」
何が何だかわからないまま男は空返事をしてしまうと扇はすぐに再開する。
「指揮官様大丈夫ですよ。私たちはそのようなことで死ぬことはありませんから」
ミリアスがそう言うと少しずつ男は冷静になる。
「そ、そうですよね。よかった?まぁそうなら続けても大丈夫かな・・・」
言いくるめられ、男がそう言った瞬間に男の間近を猛スピードの球が横切った。
ドォォォォォォン!
男の後ろにあった壁が大きな穴を空けて崩れていく。
試合では扇が投げた球をフライアが打ち、それが男達の方向に飛んできていたようだ。
男は仏のような顔をする。
全てを許し、全てを認め、全ての者たちに光を与えそうなその顔で男は両腕を上げてクロスさせる。
「指揮官?はっ!こ、これは!」
凛城が男を見て腕をクロスさせた意味を理解する。
「中止です!試合の中止を表しています!」
ゴッ!
男は気を失い、そのまま倒れると勢いよく頭を机にぶつけた。
明日も友達の引っ越しの手伝い〜




